2016年10月18日
心友会事件~“完全”勝利和解~
(事務所誌 ほなみ№120号)
2013年1月、社会福祉法人で生活相談員として働いていたAさんは、違法、不当な自宅待機命令を受け3年以上も職場に戻してもらえませんでした。以後、処分の不当性を訴え、職場復帰と未払い賃金の支払いを求め、労働組合とともに争議を闘ってきましたが、2016年2月19日、“完全”勝利和解という解決となりました。
この争議では、3つの法的手続きをとりましたが、第1次仮処分申立て、第2次仮処分申立てといずれも却下決定でした。法的な主張が裁判所に理解してもらえなかったこと、理解させられなかったことについて弁護団も悩み、苦しみました。しかし、Aさんをはじめとして、争議にかかわった誰もが最終的な勝利を信じ、固く連帯し、訴訟や団体交渉を粘り強く続けてきました。
勝因の1つ目は、Aさんの「私たち労働者は経営者の私利私欲のために働いているわけじゃない!誇りややりがいを持って働いていた自分自身の名誉のためにも、泣き寝入りなど絶対しない!必ず勝つまで闘います!」と勝利を信じて疑わない「信念」の力でした。我々弁護団も、この「信念」の前に何度震い立たされたかわかりません。
勝因の2つ目は、労働組合のみなさんが、団体交渉や行政交渉など、幾度となく相手を追い詰めてきたという「連帯」の力でした。個々の労働事件では得難い「団結の力」を遺憾なく発揮した争議だったと思います。
主任弁護士として、この争議にかかわらせていただいたことは、非常に貴重な経験となりました。本事件の担当弁護士は金子、鈴木、二宮でした。ご支援、ご協力頂き、心から御礼申し上げます。
(弁護士 二 宮 淳 悟)
著者:二宮 淳悟
2010年12月 当事務所入所 ・新潟県弁護士会 東日本大震災復興支援対策本部 本部長代行 ・新潟県弁護士会 憲法改正問題特別委員会 副委員長 ・新潟県弁護士会 糸井川大規模火災対応本部 事務局長 ・日本弁護士連合会 災害復興支援委員会 運営委員 ・関東弁護士会連合会 災害対策協議会PT 委員
原発避難者の損害賠償訴訟
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