新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2011年5月31日

法律相談 ~災害編~

(事務所誌「ほなみ」第108号掲載)

Q 一軒家に住んでいるのですが、地震で隣の家の塀が倒れてきました。隣の人が立てた塀ですが、隣の人が話し合いに応じてくれそうにありません。誰にどんな請求ができますか?

A 具体的事情により、隣人に損害賠償を請求できることがあります。
民法717条には、「土地の工作物の設置又は保存」に「瑕疵」があって人に損害を与えたときは、建物の占有者又は所有者は損害を賠償しなければならないと定めています。この場合の塀は「土地の工作物」と考えてよいでしょう。「瑕疵」とは、通常認められる安全性を欠くものと考えられています。そこで、塀の設置事情が「通常認められる安全性」を備えていたかが問題となります。通常発生が予測される地震は、一般的には震度5ないし6程度が参考になると考えられますので、「安全性」の有無については、震度5ないしは6に耐えうる程度であったか、取り付け技術の水準、塀の管理方法等、種々の事情を総合的に考慮して決せられることになります。このような、「安全性」が備わっていたかについては、専門的、法的判断が必要となるので、弁護士までご相談ください。

Q 先日、自治体名が書かれた手紙がポストに入っており、義捐金の募集と書いていたのでお金を振り込みましたが、自治体に確認したところ、そのような募集はしていないとのことでした。どうしたらよいですか?

A 直ちに警察に被害届を提出し、口座凍結の手続をしてください。
災害時には、様々な手口で詐欺等の犯罪が横行します。ご相談の手口は振り込め詐欺の一形態であると考えられます。まず、警察に通報して被害届を提出してください。さらに、振込先金融機関に通報して名義人や口座番号を伝えて下さい。
振込先口座が不正利用されている場合、いわゆる振り込め詐欺救済法に基づき、口座の取引が停止し、一定の手続きを経て被害回復分配金の支払いを申請することができます。警察への対応や、手続きの詳細については、弁護士までご相談下さい。

Q 地震により会社の資金繰りが悪化し、今月の給料は払えそうにない、一律の一時的な引き下げを考えている。また、このままの状態だと倒産もやむを得ないと言われました。どうしたらよいですか?

A まず、給料については、支払いが遅れたからといって、労働基準法上の処罰を受けることはありませんが、遅延損害金を付して給料を支払う義務があります。また、一律の賃下げも給与規定の合理的な変更の範囲であれば可能ですが、それを超える賃下げは不当な賃下げであると考えられます。
次に、地震に便乗した計画倒産などでなければ、解雇はやむを得ないと考えられます。ただし、未払い賃料等については、一般債権に優先して弁済を受けることができますし、労働者健康福祉機構から立替払いを受けることができます。詳しくは当事務所の弁護士までご相談下さい。

弁護士 二 宮 淳 悟

著者:

2010年12月 当事務所入所 ・2012年~新潟県弁護士会 東日本大震災復興支援対策本部 本部長代行 ・2015年~新潟県弁護士会 憲法改正問題特別委員会 副委員長 ・2019年~新潟県弁護士会 糸井川大規模火災対応本部 事務局長 ・2020年~新潟県弁護士会 学校へ行こう委員会 副委員長 ・2023年~新潟県弁護士会 刑事弁護委員会 副委員長  ・2012年~日本弁護士連合会 災害復興支援委員会 運営委員 ・2018年~関東弁護士会連合会 災害対策委員会 副委員長

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