2021年1月19日
遠い未来の物語
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
さて、数あるウルトラマンシリーズの中でも、高い評価を得ているのがウルトラセブン(以下「セブン」)です。
初代ウルトラマンに出てきた敵がほとんど「怪獣」であるのに対して、セブンの敵は「宇宙人」が多いという特徴があります。宇宙船で地球にやってくる宇宙人は、知能が高く、高度な文明や科学技術を持っています。こうした宇宙人との知的な攻防がストーリーに深みを与えており、セブンの見どころのひとつとなっています。
そのセブンの中でも、傑作中の傑作が、メトロン星人が登場する第8話です。
メトロン星人は、煙草に宇宙ケシに似た物質を仕込みました。煙草を吸いその物質が体内に入ると、理性を失い周囲の人間がすべて敵に見えて攻撃するようになります。これにより、航空機が墜落したり、銃を乱射する人が出たり、大混乱となりました。
問題の煙草が、駅前の自販機で売られていたことを突き止めたセブン(モロボシ・ダン)は、煙草の納入業者を尾行し、鄙びたアパートにたどり着きます。そこに待っていたのはメトロン星人でした。古アパートの一室で、ちゃぶ台を挟み対峙するダンとメトロン星人。
メトロン星人は言います。地球を侵略するのに暴力を振るう必要はないと。メトロン星人は、人類が信頼し合いルールを守って生きていることに目をつけ、人間同士の信頼を破壊すれば人類はお互いに攻撃しあって自滅し、地球をたやすく手に入れられるという作戦をダンに披露しました。
しかし、この謀略を知ったダンはセブンに変身し、メトロン星人と戦って見事勝利!メトロン星人による地球侵略計画は阻止されたのでした。
これでめでたしめでたし、と思いきや、話はここで終わりません。次のように最後のナレーションが入ります。
「人間同士の信頼感を利用するとは、恐るべき宇宙人です。でもご安心下さい。このお話は、遠い遠い未来の物語なのです。え、なぜですって?我々人類は今、宇宙人に狙われるほどお互いを信頼してはいませんから。」
セブンが製作されたのは1967年。それから50数年が過ぎました。今、人類はお互いを信頼しているかどうか、皆さんはどう考えますか?
弁護士 小淵 真史
事務書誌「ほなみ」第129号より
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「学問の自由」を見つめ直す