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2019年1月16日

韓国の『徴用工事件』判決に対する日本政府の非難は強引スギスギ

いま日本と韓国の関係を大きく揺るがしている問題のひとつが、『徴用工事件』に関する判決です。太平洋戦争中に朝鮮半島から日本に徴用されて軍需工場などで働かされた労働者(『徴用工』)が、「ひどい労働条件や環境の下で働かされた。償いをして欲しい。」として企業に訴えた事件で、昨年10月と11月に相つぎ、韓国大法院(最高裁)は労働者の訴えを認めました。これに対し、日本政府は「あり得ない判決だ」「国際法に反する」と強い調子で非難しています。

私はアレッと思いました。この裁判は民間人が民間会社を訴えた裁判です。訴えに対し判決を下すのは裁判所の仕事です。その判決に従って金銭を支払うかどうかは訴えられた会社が判断すれば良いだけで、そもそも国が口を出す性質のものではありません。また、もし判決が民間だけにとどまらず政治全体に影響を及ぼすなら、「こんな判決が出たが、今後国(行政)としてどう対応して行くべきか」と政府内で検討を始めれば良いだけです(これを権力分立主義といいます)。こんなことは国の制度のイロハのイで、中学生でもわかります。

日本政府は、「この問題も含めて戦争の補償は『日韓請求権協定』で一切解決ずみのはずだ。韓国の裁判所は何てことをしてくれた」と思っているのでしょう。しかし韓国大法院はそのことについても触れていて、「徴用工が受けた損害は戦争遂行に直結した反人道的な不法行為だから、『日韓請求権協定』でも解決していない」と言っています。ひとつの理屈として間違ってはいません。

日本政府はこう言えば良かったのです。「このたびの韓国大法院の判決は、権力分立の原則上尊重されなければならないが、『日韓請求権協定』の解釈につき重大な疑義があり極めて遺憾である。この問題は、日本と韓国の国家関係にも少なからず影響を及ぼすものであるから、同協定の条項に従い早急に韓国政府と協議したい」(報道によると、今ようやくこの方向に動き始めているようです。)

日本政府の非難は強引スギスギです。コブシの上げ過ぎです。

弁護士 金 子  修

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