2008年7月22日
韓国映画で観た「取調べの可視化(DVD録画)」
現在、韓国で500万人を動員して大ヒット中の映画『公共の敵1-1』を観ていたら、こんなシーンがありました。
熱血的で直情的な刑事が、未熟な少年たちを操って次々と殺人を犯させるという極悪人(=公共の敵)を執念の捜査で追い詰めたところ、その手先の男に刺され瀕死の重傷を負って入院しました。
自首してきた犯人は、取調べ室の中で「ただ気分が悪かったんで刺した、それだけだ。」などと鼻で笑ってうそぶいたため、それを見ていた熱血刑事の上司がカッとなり、その犯人をボコボコに殴り、しばらくして騒ぎに気づき取調室に駆けつけて来た別の刑事たちに押え込まれるシーンがありました。
日本の映画やドラマでは、撮影カメラが取調室内に入ってそのシーンを撮るでしょう。ところが、この映画では、別室に備え付けられているDVD録画機のモニター画面にそのシーンが映し出されている、という映像でした。
観ていて、「あぁ、これが取調べの可視化(録画)なんだ」と思わず小さく叫んでしまいました。
録画を見れば、こんな暴力的な取調べで自白が得られたとしても、刑事裁判で信用されることはありません。しかし、いま日本で行われようとしている「取調べの可視化(DVD録画)」は、そんなヤバいシーンは省かれ、取調べの最後で「私がやりました。」と自白する場面の録画しか裁判で見ることができないようになっています。自白を得るまで執拗に行われるはずの刑事による誘導、脅迫的な言動は録画されません。
これでは、虚偽の自白による有罪判決(えん罪)はなくなりません。取調べの全面的な可視化(録画)はどうしても必要です。
『公共の敵1-1』を観てつくづくそう感じました。それにしても、主人公の熱血刑事役のソル・ギョングさんは良い俳優さんです、はい。
弁護士 金 子 修
著者:金子 修
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