新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2019年9月3日

高齢者の自動車事故について

今年の春頃から「高齢運転者による自動車事故」のニュースがたくさん報道されています。そして、それらの事故の原因が「アクセルとブレーキを踏み間違え」であるとして、高齢者に対する運転免許制度についても様々な議論がされています。

この点、交通事故に関する警察庁の統計をみると、年齢別免許保有者10万人あたりの「交通事故件数」としては、16~19歳が最も多く、20~29歳、80歳以上の件数が多くなっています。そして事故の内容、程度については「死亡事故件数」の統計からは、16~19歳が11.4件、80歳以上の平均が14.6件となっています。これらの数字からいえることは、免許取得したばかりの年代と、80歳以上の年代の運転による重大な自動車事故が割合的に多いということはいえるのでしょう。この内、高齢者の事故の原因として最も多いとされているのは、ハンドルの誤操作やブレーキとアクセルの踏み間違いなどの「操作不適」となっています。

こういった統計から、加齢による運動能力の低下や、判断能力の低下が原因であることを理由に、高齢者の運転免許について一定の制限を設けるべきという意見もあるところです。しかし、これらの運転能力の低下は、個人差も大きく、年齢でひとくくりにできるようなものでもないように思います。高齢者だから免許の要件を厳しくすべきという論調は「年齢差別」に繋がりかねず、違和感を覚えます。また、車を運転するということは、新潟県では日常生活において必要不可欠な移動手段ともいえます。ドライブで遠出をすることが趣味の方もいれば、車を運転すること自体に楽しみを覚える方もいるでしょう。車で移動すること、車を運転することはは憲法22条1項(居住移転の自由)あるいは憲法13条(幸福追求権)によって尊重されるべき人権であるといえるのではないでしょうか。ですので、単純に「年齢」といった指標で、一律に過度な制約や規制をすべきではないと考えています。

弁護士として交通事故の事件を取り扱いますが、交通事故の事件においては、被害者側の立場であっても加害者側の立場であっても心を痛める場合が少なくありません。交通事故はできる限り起きないようにすることに何ができるでしょうか。個人的には、免許更新の機会などを活用し、自分の運動能力や判断能力を客観的に認識できるような仕組みづくりが望ましいのではないかと思います。体力や能力の衰えを自分で客観的に判断することが、日々の運転を気をつけることの一つのきっかけになると考えるからです。

現在、高齢者による免許の自主返納が増えているとか、政府が高齢者専用の車の運転免許制度の創設を検討中との報道もされているところですが、制度がどうなるかとは別に、「自分が交通事故を起こさないために何ができるか」をみなさんのご家族でも話し合ってみてはいかがでしょうか。

        弁護士 二 宮 淳 悟(事務所誌ほなみ第126号)

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