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2010年12月24日

「非常勤講師」の雇止めは権利の濫用であるから無効だとする画期的な判決が出ました

 暮れも押し迫った平成22年12月22日、長年私立高校に勤務し常勤教員と同じように仕事をしてきた非常勤講師の先生方を「雇用期間が満了した」という形式的な理由だけで解雇(雇止め)した事件で、そのような解雇(雇止め)は解雇権の濫用で無効であるとの判決が出ました。
 新潟県の中央部に位置する加茂暁星高校は地域に密着した歴史ある私立高校です。常勤の先生方と1年単位の「非常勤講師」の先生が協力し合って教育を行ってきました。「非常勤」と言っても、希望すれば当然に契約更新が行われ、学校もそれを当然のものとして対応してきました。今回の裁判の原告となったAさんは25年間、Bさんは17年間、継続的に雇用されてきました。
 ところが、最近公立高校から天下ってきた学校長が、十分な理由も説明もしないまま、一方的に「契約期限が切れたから」という理由で、19名の非常勤講師のうちAさんBさん含め12名を一方的に解雇(雇止め)したのです。
  理不尽な解雇通告を受けたAさんとBさんは、平成19年12月26日、高校を経営する学校法人(加茂暁星学園)を相手に、①今でも非常勤講師としての地位があることを確認せよ、②解雇通告後に支払われていない賃金を支払え、との訴えを新潟地方裁判所に起こしました。
  今回出された判決は、AさんBさんの要求を100%認めた画期的な判決でした。具体的には、①AさんBさんのような期間の定めがある雇用契約でも、雇用契約の継続が期待され実際に更新が重ねられてきたような場合には、解雇権の行使(雇止め)には合理的な理由が必要である、②今回の解雇(雇止め)は、経営合理化を進めるため余剰人員を削減することを目的としたものであるから、会社都合で人員削減をする場合に適用される「整理解雇の法理」を使って合理的理由があったかどうか判断すべきである、③本件では、人員削減の必要性が認められず、雇止めを回避する努力もなく、事前事後の説明・協議も不十分であるから、解雇(雇止め)に合理的理由はなく無効である、と判断しました。
  3年に及ぶ裁判の間、加茂暁星高校の常勤教員の皆さんがわがことのように支援し、学校OBや生徒の保護者、新潟県内だけでなく全国の私立学校の教職員からも支援を受け、裁判期日には毎回新潟市内で街頭宣伝をして傍聴席を埋めるという活動を続けてきました。
  今回の判決は、身分が不安定な中、それでも常勤の教員の皆さんと一緒になって懸命に子供たちの教育に努力している「非常勤講師」の先生方に勇気を与え、また広く非正規雇用の労働者を励ますものでした。AさんもBさんも自分のことだけでなくそのことを喜んでいました。
  しかし判決を得ただけでは解決にはなりません。今後は、学校法人側に控訴をさせず、1日も早くAさんBさんの職場復帰を実現させる運動を早急に強めていかなければなりません。
  なお弁護団は、私と最近当事務所を独立した磯部亘弁護士です。
 弁護士  金子 修

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