新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2010年10月22日

ドメスティック・バイオレンスにおける「支配」

(事務所誌「ほなみ」第106号掲載)
DV(ドメスティック・バイオレンス)には、色々な種類がある。以前は暴力だけを捉えて、DVと言われていたが、現在では、精神的虐待、性的虐待、経済的虐待などもDVと社会的に認知されるようになった。
他方で、このような概念の広がりに伴い、どこからがDVかわからないという人がいる。確かに、普段は仲の良い夫婦喧嘩でも、何年に一度の激しい喧嘩なら、「死んでしまえ。」などの粗暴な言葉が出る例もあるだろう。
私は、DVの被害者から相談を受けることが多い。その経験から感じることは、あらゆるDVに共通する本質は、「支配」である。暴力で支配する夫、教育・指導と称して長時間にわたる説教を繰り返す夫、性交渉を強要する夫、細かい支出までチェックして経済的に束縛する夫、携帯を無断で見たり、車のメーターをチェックし、行動を監視する夫も、いずれも、相手を「支配」しようとする言動である。
そして、「支配」は継続を伴う。継続しないものは「支配」とは言わないからである。そして、支配者と被支配者の関係は決して対等な関係ではない。これが単発的な夫婦喧嘩との本質的な違いである。被害女性の離脱を困難にさせ、精神的に追い詰める。その被害者の多くが、パニック障害、心因反応などの精神疾患を患い、PTSDになる人もいる。
DV男性は、往々にして、自らの行為がDVであることに気付かず、妻や子どもを愛していると自覚している。暴力も、説教も、監視も、狂言自殺も、すべて本人にとっては「愛情表現」と思い込んでいる。したがって、DV夫の多くは、離婚に応じず、子を渡さないという行動をとり、別居後生活費を渡さなければ、いつか妻子は帰ってくると思い込んでいる。
DVからの脱出は、「支配」されている自分を理解することから始まる。そして多くのDV被害者は、経済的、法律的、精神的な様々な問題を解決する必要があり、一人では解決が困難であり、周囲の人、行政、民間団体、弁護士などの助力を得ることでスムーズな救済につながることが多い。今後も、弁護士として、DV被害者の法的問題を解決し、人間らしい生活を回復することができるよう、その救済に努めていきたい。

弁護士 近 藤 明 彦

著者:

話しやすい雰囲気で相談・打合せを行い、丁寧な事件処理をすること。依頼者の皆様の満足と納得を最優先にし、安心感を得ていただけることを目標として頑張っています。以前依頼者であった方から、別の事件の相談を再び受けること(リピート)、別の相談者を紹介していただくこと(孫事件とでも言いましょうか)が多く、そのことが私にとって大きな励みになっています。お客様から満足していただけたかどうかのバロメーターであると考えるからです。

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