新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2023年1月13日

マスクにまつわるニュースから

新年おめでとうございます。
 長引くマスク生活。今年こそ終わりにしたいと思っている方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。さて、マスクにまつわるニュースを一つ取り上げてみたいと思います。将棋の佐藤天彦九段が対局中に長時間マスクを外していたことにより反則負けとなったニュース。これがA級順位戦という棋界最高峰の重要対局で下されたことで話題となりました。
 日本将棋連盟の対局規定には、コロナ対策のため、対局中のマスク着用義務の規定があり、これに違反した場合には反則負けとするとされています。佐藤九段はマスクを外したまま盤面に没入しており違反の事実は明らかなのですが、反則負けとの裁定については、それに反対する人と支持する人で熱い議論となり、佐藤九段自身も異議申立てを行っています(原稿執筆時に結論は出ていないようです。)。
 この反則負けの措置については、いくつかの論点が指摘できます。一つは、規定自体の合理性で、コロナも弱毒化・収束に向かい、マスクもそろそろ良いのではという風潮の中で、無言で対局をする将棋でマスクの義務付けが必要かという点。反対意見からは、「それなら力士もマスクをしましょう」「相手の駒を取ったら毎回消毒しないと」とニヤリとさせられるコメントがネットを賑わしました。
 そして、仮に義務づけるとしても、反則負けとするのは重すぎるのではないか、本来将棋のルールではない「マスク着用」を「二歩」などと同列に扱い、反則負けにするのは筋が違うのではないかという指摘があります。
 また、棋士の盤面への集中はすごいので、佐藤九段がマスクのことを忘れて盤面に没入していたというのはたぶん本当でしょう。そうであれば、一言注意すれば済んだはずであるのに何も注意をしないで、いきなり反則負けにすることが妥当であったかという点です。
 紙面の都合上紹介できませんが、これらの反対論の指摘に対しては、いずれも賛成論からの反論があり、たぶん法律家でも見解の分かれる微妙な論争となっています。
 この問題についての議論を見ていると、「ルールがあるからそれに従うのが当然」という思考停止型のコメントは少なく、そのルール自体が妥当か、ルールがあってもそれを形式的に適用すべきか、という発想で議論されているのが印象的に思います。
 この問題、皆さんどのようにお考えですか。ご家族とお仲間と、飛沫が飛びすぎない程度に議論されてみてはいかがでしょうか。
 今年も皆さんにとって良い年になるように、そして、マスクから解放される年になることを祈っています。
(事務所誌ほなみ第133号掲載)                   弁護士 近 藤 明 彦

著者:

話しやすい雰囲気で相談・打合せを行い、丁寧な事件処理をすること。依頼者の皆様の満足と納得を最優先にし、安心感を得ていただけることを目標として頑張っています。以前依頼者であった方から、別の事件の相談を再び受けること(リピート)、別の相談者を紹介していただくこと(孫事件とでも言いましょうか)が多く、そのことが私にとって大きな励みになっています。お客様から満足していただけたかどうかのバロメーターであると考えるからです。

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