新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2017年2月14日

原発避難者新潟訴訟

(事務所誌ほなみ第121号より搭載)

 2013年7月23日、東日本大震災による原発事故によって新潟県に避難している(していた)方々ら354名の方が第1陣の原告となり、国と東電を被告とする損害賠償請求訴訟を提訴しました。それから3年半が経過しましたが、第2陣99名(2014年3月11日提訴)、第3陣258名(2014年10月20日提訴)、第4陣97名(2016年2月24日提訴)が加わり、原発避難者訴訟としては、全国最大規模の訴訟となりました。

 現時点で裁判所での主な争点は「責任(国や東電は原発事故を防げたか)」と「損害(原発事故による精神的損害があるか)の2点です。前者について、国や東電は東日本大震災による津波を予見することなどできなかったし、対策を講じることもできなかったと主張しています。また、後者について、東電は、避難者の方々、特に「自主的避難等対象区域」(福島市や郡山市など)からの避難につき、避難元地域は放射線量による被ばくを心配するレベルになく、避難の合理性がないとの主張をしています。いずれの主張も自らに都合の悪い真実から逃れようとする主張であり、到底納得できるものではありません。

 弁護団では、昨年から、原告の方々の個別の不安、苦悩などの聴き取り作業を本格的に始めています。原発事故直後の混乱の中、「死ぬかもしれない」と着の身着のままに避難した際に抱いた恐怖、避難指示や放射線量の情報提供が適切になされなかったことにより放射線量の高い地域に避難してしまっていたことの後悔と将来への健康不安、そして家族や友人の反対を押し切ってわが子を守る一心で避難した決意など。原告の方々の口から語られたのは「体験した者にしか話せない苦悩と悩み」そのものです。

 今年の1月からはいよいよ「尋問」の手続きが始まる予定です。原告の方々の生の声を裁判所の法廷で明らかにし、国や東電によって引き起こされた「人災」の責任を司法の場で追及していきたいと思います。引き続き皆様のご協力とご支援の程よろしくお願い申し上げます(当事務所の弁護士は全員弁護団に所属しております)。

         弁護士 二宮 淳悟

著者:

2010年12月 当事務所入所 ・2012年~新潟県弁護士会 東日本大震災復興支援対策本部 本部長代行 ・2015年~新潟県弁護士会 憲法改正問題特別委員会 副委員長 ・2019年~新潟県弁護士会 糸井川大規模火災対応本部 事務局長 ・2020年~新潟県弁護士会 学校へ行こう委員会 副委員長 ・2023年~新潟県弁護士会 刑事弁護委員会 副委員長  ・2012年~日本弁護士連合会 災害復興支援委員会 運営委員 ・2018年~関東弁護士会連合会 災害対策委員会 副委員長

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