2011年10月24日
山場をむかえた真光寺ヴィレッジ事件
事務所誌「ほなみ」第109号掲載
「真光寺ヴィレッジ」とか「真光寺温泉健康村」という名称で販売されている分譲地の管理委託契約の効力をめぐって、分譲地の住民と管理会社との間で白熱した裁判が続いています。原告は、阿賀野市内の五頭山麓にあるこの分譲地の管理会社。分譲地の住民を含む30名の所有者に管理委託費など総額2062万円の支払いを求めて裁判を起こしたのは、平成21年8月。これに対し、Aさんを含む住民側は真っ向から反論。管理委託契約書には契約期間の定めがあり、契約期間が満了する3ヵ月前に申し出れば、解除ができることになっている。以前に支払っていた管理費がどのように使われていたかについては、管理会社から説明もなく不明朗だった。すでに住民側は管理会社に契約解除の申出をしており、管理会社の請求には応じられないと主張しています。
問題なのは、これに対する管理会社の言い分。管理会社による管理行為は、冬の道路の除雪も含めて真光寺ヴィレッジ全体として行われるから、管理行為による利益は分譲地所有者全員が共同して受けている。だから、真光寺ヴィレッジにおける管理委託契約は、個々の契約者が更新拒絶や解除を認めることはできない、被告住民の契約解除は無効という論法です。
しかし、管理会社の言い分は、契約解除ができると記載されている契約書の定めを無視する乱暴な議論です。最近同じような事例を扱った東京高裁平成22年2月16日判決でも、契約書に記載された解除条項の存在を重視しています。長年にわたってこの問題に取り組んできたAさんは、そもそも道路の除雪は、以前は管理会社が旧笹神村から除雪委託費の交付を受けており、本来なら行政サービスとしてなされるべきものと指摘。今、裁判は、管理委託契約の効力をめぐって大きな山場をむかえています。
弁護士 中 村 周 而
著者:中村 周而
さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。
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