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2011年9月6日

離婚のとき子どもの親権者をどちらか一方だけにするって、ふつう?

事務所誌「ほなみ108号」掲載

1 「明日はパパのお家に泊まるの」

 アメリカのテレビドラマや映画で、母親と幼い子が一緒にテレビを観ていて、子どもが母親に向かって「ママ、明日はパパのお家に行くんだね。」「そうよ、楽しみ?」「うん。」「ちゃんと翌日には帰ってくるのよ。」「わかってるよ、ママ。」なんていう会話に出会うことがあります。

 離婚した夫婦の子どもが、すでに別々の生活をしている(中には別な人と再婚している)父と母の間を比較的自由に行ったり来たりすることは、西欧諸国では普通のことなのだそうです。

2 日本の制度と西欧諸国の制度

 しかし日本はそうではありません。夫婦の時は父母の共同親権ですが、離婚すると違います。「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない」(民法819条1項)「裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める」(同条2項)となっていて、離婚になってしまうと必ずどちらか1人にさせられます(単独親権)。

 その後になって、親権者が親権者としてふさわしくない行いをした場合も、交代させるだけで、親権者はやはり1人です。

 日本人の感覚では当たり前のように思われますが、「なぜどちらか一方だけなのか?」と正面切って理由を聞かれると「ムムム・・」となります。

 これに対し、西欧諸国では、原則として、離婚しても、離婚前のまま引き続いて子どもの親権は父母両方に属します(共同親権)。ただ、父母が、お互いに愛情を失ったり別々の生活になることから来る不都合については、裁判所などの公的機関や民間団体が親権の行使をサポートする、というシステムになっています。

3 “子どもの幸せ”にとって親権者を片方のみとするのは正しいのか?

   弁護士として離婚問題に関わっていると、親権者を片方のみとすることが子どもにとって良くないのではないか、という思うことが少なくありません。

 「我が家の子として育てる」「離婚は縁切りだ」という昔の“家制度”の感覚をむき出しにしてくるケースや、「子どもは私の生きがい」「この子がいないと生きていけない」と、子どもから支えてもらうことでしか自分の生活を考えないケースにぶつかります。

 「私のもとで生活することが子どもにとって幸せのはず」と自分では思っていても、知らず知らずのうちに、実際は「自分の幸せに子どもを利用している」ということになっているのではないかというケースもあります。

 幼い子は自分の意見や気持ちを言えません。ましてや大好きなパパとママがケンカしている場面を見れば、子どもはただ黙って、じっと息をひそめているほかありません。

 そんなケンカの果てに、片方の親が姿を消しほとんど会えない、甘えたいと思う時にその人がいない、というつらい経験を何度もしなければならないのです。

4 また、親権を失った親の“愛情の喪失感”というのも大変なものです。もし離婚後も親権者として子どもに愛情が注げるという制度になれば、養育費も頑張って送ろうという気持ちになるでしょうし、自分自身の人生への励みにもなるでしょう。

 弁護士になって25年目になりますが、さまざまな現場を経験して、親権者をどちらか片方だけにするという今の制度は、早く変えなければならないと思うようになりました。

弁護士 金子 修
 

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