2013年9月12日
(株)貧困大国アメリカ」もどきにならないために
生活保護法の改悪、TPPの参加など憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」さえも危機に直面しています。「TTPに参加すれば食品が安くなる」、「民営化すれば行政サービスもよくなる」と言われて、日本社会を改造する政治が進められています。
岩波新書「(株)貧困大国アメリカ」(堤未果著)を読むと、我国の行き着く「貧困社会日本」の姿を垣間見ることができます。
この本は、最初に、「株式会社奴隷農場」と題して、米国での安い食肉を生産するための工場となった農場の実態を紹介しています。大規模スーパーが設定した安い買取価格で生産するために成長促進剤を注射して、短期間で大量の鶏肉を効率よく生産する工業式養鶏場。トーモロコシや小麦などの収穫量が何倍にもなる遺伝子組換作物(GM作物)が家畜の飼料に導入され、工業式畜産のための「抗生剤」の使用量が急増していきます。
コンビニやスーパーの買収・合併によって小売業界の独占化が進み、大手小売業者が「安い」食品を食卓に提供するためと称して、食品生産業者を支配していく支配構造を、創業12年で小売業界トップとなったウォルマート社を例にあげて浮き彫りにしています。
更に、「安い」食品の供給を可能にするために、モンサント社などの遺伝子組換(GM)産業が加わり、生産量を倍増するGM小麦、養殖用のGMサーモンなどの遺伝子組換作物や動物で、GM産業が世界市場を支配しようとしています。
米国内の食品の安全審査を緩和させ、GM食品の安全性に疑問が出ても、マスコミや政治家を使って、それを封じ込めて、安全神話が形成されていきます。食品表示から遺伝子組換表示を削除して消費者に知られなくさせ、日本の原発の安全神話と共通するGM作物・種子に対する安全神話が浸透し広められています。
自由貿易協定においてアメリカで安全とされたGM食品を貿易相手国に無条件で受け入れさせ、貿易相手国ではGM作物の事前の安全性のチェックは開発企業側が提供する自己申告データの書類審査のみとなり、食品表示から遺伝子組換の表示義務をなくして行くという米国政府の姿勢は、TPPに参加した場合の日本の行く末を見る思いがしました。
「安さ」だけを追い求めるのではなく、食の安全に関心を持ち、「地産地消」によって地場の農作物・畜産を守り、「貧困大国アメリカ」式を日本社会に浸透させないようにすることの重要性を気付かせてくれる一冊です。
弁護士 土屋俊幸
著者:土屋 俊幸
パソコンのハードとOSに強く、当事務所のパソコン機器のメンテナンス係りです。自分で高性能のパソコンを自作しています。オーディオが趣味で、最近では、デジタル信号をアナログ信号に変換する機器(DAC)にiPadをつなぎ、どのUSBケーブルだと良い音ができるのかを試行錯誤をしています。ハイレゾ音源とYouTubeのヒアノ演奏や交響楽団の演奏を真空管アンプで、30年前に買ったスピーカーで、音の歪みのもたらす音に聴き入る時間をつくりたいと思っています。論文検索や技術情報の収集など情報検索を駆使しての情報集めを得意としています。オーディオの世界と仕事では燻銀の経験と粘りで頑張っています。
「パワハラ」
秘密保護法に反対のパブコメ 意見書参考文