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2014年1月20日

中国人の考える「平和」

(事務所誌ほなみ第115号掲載)

・いま本当に心配しています
 最近の日本と中国の、軍事力をチラつかせいがみ合っているニュースを耳にして、本当に心配しています。太平洋戦争中に発生した中国人労働者強制連行問題を解決しようと、裁判や支援運動を通じて中国の方々と関わりを持った者として、雲が晴れない憂鬱な気持ちでいます。
 こういう場合、急がば回れ、一歩引いて、ひとまず相手方の立場に立って、その気持ちを理解しようと努力することが大切です。
・出発点は「アヘン戦争」
 ある雑誌で、長年日本で生活し日本の大学で教えている中国人の学者の方が、「中国人は平和をどう考えているか」として、つぎのように話していました。
 ① 中国人が平和について考える場合の出 発点は「アヘン戦争」(あれ、日中戦争じゃないの?)
    中国は古来強い国だった。しかし、19世紀半ば、麻薬(アヘン)貿易の規制をきっかけに始まったアヘン戦争の結果、中国(当時の清)はヨーロッパ、ロシアに侵略され独立を失い大変な苦しみを受けた。
 ② もう二度と侵略されないことが「平和」、そのためには国が強くなければならない
    軍事的にも経済的にも強くならなければ 「平和」は訪れない。前者は例えば朝鮮戦争、 後者は改革開放政策の推進(要するに富国強兵)。
・中国人には「尖閣問題」はどう映る?
  この学者の方がおっしゃるには、昨年9月にそれまで私有地であった尖閣諸島を日本が買い取り国有化し、かつ「領土問題は存在しない」と主張していることは、日本人が想像する以上に中国の人々に対しショックを与えているとのことです。
 中国も領土だと考えている場所を、何の相談もなくいきなり日本の国有地にして、かつ「領土問題は存在しない」と一方的に宣言する態度を見て、「日本は、かつて中国を侵略していた頃の日本に戻ったのではないか」「中国は再び日本から侵略されるのではないか」という衝撃だそうです。
 また、「尖閣問題」までは、日本人の多数は憲法9条を信じる平和主義の人々で、軍事力で平和をこわそうとする人は、ごく少数の政治家や右翼勢力だと考えていた。しかし、「尖閣問題」以降は、日本国民全体が憲法9条を捨て非平和主義者になっている、という印象を持っているそうです。いずれアメリカのコントロールを越えたら、また戦前のように中国を侵略してくるのではないか、という認識だそうです。
・さて、どうしましょう
 「尖閣問題」でなぜ中国があれほど過剰とも思える反応を示すのか、少しわかったような気がします。少なくとも、マスコミが言うような「中華思想の現れ」とか「反日教育の結果」とかだけで説明できるものではないようです。
 では、さて、どうしましょう。
私は、いま日本政府が進めているような「集団的自衛権を認め、憲法9条を変更する」という政策を一刻も早く転換させ、問題があれば軍事ではなく冷静な外交交渉で相手を説得し、平和的に解決するという姿勢を示すこと、そしてそれを求める運動を強めていくほかないと思いますが、いかがでしょうか。

弁護士 金子 修

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