新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2016年1月28日

ミナマタ60年

昨年は新潟水俣病の公式確認50年の年でしたが、今年は熊本水俣病の公式発見から60年目にあたります。いま熊本地裁では、1156人の被害者が国と熊本県、加害企業のチッソを相手に裁判を行っています。昨年12月7日には、新潟市内でノーモア・ミナマタ第2次新潟訴訟の原告の皆さんが街頭宣伝を行いましたが、九州からもノーモア・ミナマタ国賠訴訟(熊本)の原告団の皆さんが駆け付けて下さり、水俣病の被害者の早期救済と裁判支援を訴えました。

この間、熊本でも新潟でも水俣病被害者が救済を求めて何度か裁判に取り組んできましたが、いまだに多くの被害者が救済を受けられないままです。

22人の被害者が平成25年12月に国と昭和電工を相手に提訴した第2次新潟訴訟は、その後、被害者の輪が広がり、12月7日も13人の被害者が第8陣原告として訴訟に加わり、原告数は115人になりました。しかし原告のうち93人は60歳代から90歳代の方々で、一日も早い救済が求められていますが、国も昭和電工も、解決しようとする姿勢は全く見られません。

今年で3年目に入った第2次新潟訴訟ですが、法廷では、国が昭和36年の段階で、水質二法を適用して昭和電工鹿瀬工場の排水規制をすることができたかどうかをめぐる白熱した論戦が続いており、大きなヤマ場を迎えています。

水銀を使ってアセトアルデヒドを製造していたチッソ水俣工場の工場排水に流出していた有機水銀が水俣病の原因であることが解明された昭和34年7月以降、国会では、アセトアルデヒド生産をしている全国の同種工場でも同じような水俣病被害が発生する心配があるから、同種工場の排水を調査すべきだという声が相次ぎ、通産省(当時)も、同年11月に秘密裏に昭電鹿瀬工場などの同種工場の排水調査を行っていました。

国は、通産省が昭和35年から36年にかけて東京工業試験所に依頼して同種工場6社6工場の排水調査を行っていることを認め、昨年3月の弁論では、工場名を墨塗りにした「排水分析結果」のデータと、6工場には鹿瀬工場は含まれていないという調査報告書を裁判所に提出してきました。

しかし、このデータによれば、6工場の排水中にいずれも高い数値の水銀が流出しており、水銀を使っていた他の同種工場の排水にも同じように水銀が流出していたことが考えられます。

12月7日に行われた裁判で、原告は、6工場のなかに鹿瀬工場が含まれていないとすれば、何故、鹿瀬工場を除いたのか。その後、なぜ、鹿瀬工場の排水調査も含めた同種工場の調査をしなかったのか。また、6工場の「排水分析結果」について、どのような検討や総括をしたのかについて、国を追及しました。

この「排水分析結果」は、国(通産省)が、昭和36年当時、鹿瀬工場も含めてアセトアルデヒドを製造していた同種工場の工場排水で水俣病発生の危険があることを知っていたことを裏付けるものです。原告側では、次回3月10日の弁論でさらにこれらの問題点を追及する予定です。

弁護士  中村 周而

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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