新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2022年8月25日

「統一教会」問題の波紋

 残暑の候、皆様いかがお過ごしですか。

 さて、安倍元首相を狙撃したのは母親が世界平和統一家庭連合(略称は家庭連合、旧称は世界基督教統一神霊協会で略称は統一協会、以下「統一協会」といいます)に多額の献金をして家庭を崩壊させられたことの恨みが動機だったという容疑者の供述が報道がされてから、統一協会の様々な問題が連日のように報道されています。

 しかし、統一協会の霊感商法や正体を隠した違法勧誘の問題はすでに87(昭和62)年頃から大きな社会問題となっており、30年前の92年には合同結婚式やマインドコントロールの問題が連日のように報道されました。

 これまで全国各地で多くの被害者が統一協会を相手に被害回復の交渉や損害賠償訴訟を行っており、新潟でも元信者58人が統一協会を被告に損害賠償訴訟を提起し、新潟地裁は3度にわたって原告勝訴の判決を言い渡しています。このうち02(平成14)年10月28日の判決は、統一協会の勧誘・勧誘行為について、「極めて不当な目的に基づく著しく社会的相当性を逸脱した方法であり、結果として原告らの自由意思を阻害し、信教の自由や婚姻の自由を阻害する行為」で、「法人としての被告自身の故意に基づく違法行為である」と厳しく断罪。さらに03(平成15)年4月25日の判決は、統一協会の伝道活動について、「経済活動及び伝道活動をする信者を拡大再生産し、経済的利益を上げるという宗教の本来から大きく逸脱した極めて不当な目的をもつもの」と指弾しました。

 裁判まで持ち出されたケースは氷山の一角で、昭和62年から令和3年までの34年間で全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の弁護士や消費生活センターが受けた相談は3万4537件、被害総額は約1237億円に上ります。統一教会関係者が刑事問題で摘発されたケースも数多くあります。

 問題は、そのような違法な活動を長期に行ってきた統一協会が「家庭連合」に名称を変更し、どうして現在まで宗教法人として存続しているのかです。それを解明するには、統一協会と安倍元首相をはじめとする一部政治家が過去にどのような関係にあったかを知る必要があります。統一協会のフロント団体である天宙平和連合(UPF)の集会で、安倍元首相が基調演説(ビデオメッセージ)を行うなど親しい関係にあったことが、統一協会による被害拡大にどのような影響を及ぼしたのかの解明も必要ですね。                                              

                事務所誌「ほなみ」第132号掲載  弁護士 中 村 周 而

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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