新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2009年10月5日

ノーモア・ミナマタ新潟訴訟 第1回弁論が開かれる

 9月10日、木曜日、午後2時半。原告や支援者、報道陣などで埋めつくされた新潟地方裁判所1号法廷で、「ノーモア・ミナマタ新潟全被害者救済訴訟」(ノーモア・ミナマタ新潟訴訟)の第1回口頭弁論が開かれた。
 冒頭、草野真人裁判長の指示を受け、すでに原告が提出した訴状と被告昭和電工と国が提出した答弁書の陳述が型どおり行われた。
 その後、27人の原告を代表して3人の原告(山崎昭正さん、近喜喜三男さん、山田サチ子さん)と5人の原告代理人の弁護士による意見陳述がなされた。
 生きているうちに解決を
 最初に意見陳述をした原告団長の山崎さんは、阿賀野患者会を結成し、裁判に踏み切った経緯を述べ、「私たち新潟水俣病被害者の生きているうちに解決を」という願いを真剣に受けとめていただきたいと裁判所に訴えた。
 今年5月に水俣病と認定された近さんは、話し合いを求めて本社を訪ねたが、ピケを張り中に入れようとしなかった昭和電工の態度を非難し、「私より重い患者が沢山いる。残された力を振り絞って裁判を闘う」と力強く訴えた。
 山田さんは、「27名の原告のうち16名が女性です。子供を生んで、育てて、働いて必死に今まで生きてきたからこそ、いのちと健康を奪った昭和電工と国を許せない。全ての水俣病被害者に謝ってほしい」と訴えた。
 弁護団からは新潟弁護団の4人の弁護士が、ノーモア・ミナマタ新潟訴訟の意義、新潟水俣病問題の歴史と現在の課題、病像論の問題点、国と昭和電工の責任について意見陳述を行った。最後に熊本の寺内弁護士が、熊本地裁で進行中のノーモア・ミナマタ訴訟も裁判が大詰めを迎えており、新潟訴訟も司法救済制度の確立により被害者を早期に救済するための訴訟進行をお願いしたいと訴えた。
 被告は全面的に争う姿勢
 法廷では、原告代理人の意見陳述の後、今後の進行についての協議があり、次回期日が12月3日、次々回期日が来年2月4日(いずれも午前11時半)と決まった。
 被告昭和電工と国は、原告の訴状に対する答弁書を陳述し、裁判で全面的に争う姿勢を示したが、どのような点を積極的に争うかについての具体的な主張は行わず、次回以降に持ち越すことになった。
 閉廷後、弁護士会館で報告集会が行われた。その後、原告を先頭に、支援者と弁護団も加わり、古町十字路で裁判の支援を求める街頭宣伝を行った。原告の皆さんが率先してマイクを握り、市民に呼びかけのが印象的だった。
 提訴から3か月の間、水俣病問題をめぐって大きな変化があった。水俣病特別措置法が成立し、この法案の成立を強引に押し進めた自民党が総選挙で大敗したことである。しかし何よりも大きな変化は、この間、原告の皆さんが見違えるように力強くなり、闘いの先頭に立っていることである。そのことを実感した街頭宣伝だった。
弁護士 中 村 周 而

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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