新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2009年11月2日

韓国裁判所探検隊(その1)

韓国好きの私は、年に何回かふらり韓国へ行き仕事のストレスをいやす。だいたい2泊3日程度だが、日本国内を旅行するよりは安上がりなので割りと気軽に行くことができる。
2009年春、「韓国裁判所探検隊」と称して知り合いの若い弁護士6人と韓国へ行った。裁判所探検隊というくらいだから、韓国の裁判所を探検する。今回はソウル市郊外の水原(スオン)市にある水原地方裁判所を探検した。残念ながら韓国語は日常会話程度しかできないが(同行者は全く)、韓国の裁判制度は日本とよく似ており、建物や法廷をのぞいて雰囲気だけでも感じてみようという気軽なものだった。
あいにくの雨の中、水原駅からタクシーに分乗して裁判所に向かう。裁判所は茶色のずんぐりした4階建てで敷地内の駐車場はすでに車でいっぱいだった。
地元の人たちと同じように建物の中に入って、開廷している法廷を少し傍聴して(どうせ言葉は分からない)、すぐ帰ってソウルで美味しい昼食でも食べるつもりだった。私たちはみな私服(ジーパン、ドレーナー姿)で観光客の顔をしており、どう見ても弁護士には見えない。
ロビーに入った。すると、中にいたピシッとしたスーツ姿の職員と目が合った。いかにも場違いな怪しいメンバーに見えたのかもしれない。近寄ってきた。ヤバイ! しかしそこは裁判で鍛えたクソ度胸で、たどたどしい韓国語で、「私たちは日本の新潟から来た弁護士です。」「勉強のために法廷を傍聴したいと思って来ました。」などと必死になって説明した。すると、その職員は携帯電話で何やら話をした後、表情を変えず「ここで待つように」と言い去って行った。
しまった。そうだよ、裁判所なんておよそ観光スポットではないし、日本人が韓国の裁判所に用事があるわけもない。弁護士だと言うが、とても弁護士には見えない身なりだし。これは怪しい外国人として尋問でも受けるのか、警察が来るのか。
警備員らしい服装の職員も2人、鋭い視線を私たちに向ける。「私たちは怪しい者ではありません」と愛想笑いを向けたが、全く反応してくれない。だんだん冷や汗がにじんできた。私たちは悄然と立ちすくんだ。
(つづく)
弁護士  金  子   修

水原地方裁判所前での記念撮影
(写真説明)水原地方裁判所前での記念撮影(撮影者・筆者)

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