2008年9月3日
ヤミ金から借りたお金は返す必要がない!
Q 夫が、スポーツ新聞の広告を見て金融会社から借入をしたところ、ヤミ金であることが判明しました。2社から借りていて、1社は借りたお金をはるかに上回るお金を支払っていますが、もう1社はまだ全額返していません。このまま業者の言うとおりに支払っていかなければならないのでしょうか。
A 一切支払う必要はありません。
借りたお金をはるかに上回る返済をしているヤミ金はもちろんですが、借りた元金を返済していないヤミ金に対しても、一切支払う必要はありません。
Q 夫は、お金を借りたわけですから、借りた元金だけは返さなければいけないと思うのですが・・・
A 以前は現場の警察官も、「借りたものは返すべきだ」というような対応をとっていたので、そのような考え方も理解できます。しかし、ヤミ金による苛酷な取り立てによって命を絶つ事例が後を絶たない中、最高裁判所が、本年6月10日、山口組系旧五菱会ヤミ金融事件で、ヤミ金融の貸付金が民法708条に規定する不法原因給付に該当する以上、ヤミ金融が貸付金元本の返還を請求することはできないという判断を示しました。
「借りた元金も払う必要はない」という最高裁判所の判決によって、ヤミ金は貸付元金の返還を求める法的根拠を失ったことになるのです。ですから、ヤミ金に対しては一切の返済を拒否することができます。
Q ただ、支払わないとヤミ金から、職場などに督促の電話がかかってくるのではないでしょうか、今後どのような対応をしたらよいのでしょうか。
A まず、警察や金融機関に連絡し、あなたが振り込んだヤミ金の預金口座等の取引の停止を求めてください。平成20年6月21日から施行された「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」(振り込め詐欺救済法)では、預金口座等が犯罪に利用された疑いがある場合に、預金口座等の取引の停止等の措置がなされることとされています。
それから、弁護士に依頼をして、ヤミ金に電話を入れてもらう、振込口座の名義人などヤミ金の関係者を提訴するなどの方法も考えられます。なお、昭和63年ころから平成15年8月ころまでの間にヤミ金被害に遭われた方は、五菱会ヤミ金事件に関する被害回復申請手続きができる場合がありますので、検察庁のホームページをご覧になってください。
弁護士 小 川 和 男
著者:小川 和男
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