新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2019年9月5日

今からでも相続放棄、 できますか?

Q1.「伯父の借金の督促状が届いた」

数日前Aの元に1年以上前に亡くなった伯父(B)の借金の督促状が届きました。Bは、数年前に亡くなったAの父(C)の兄にあたる人で、Dという息子が一人います(Bの両親と妻はすでに他界)。督促状によればDは相続放棄をしたようです。

Aも相続放棄をしようと考えましたが、インターネットで調べると「3カ月以内」にしないといけないとありました。Bの死亡から1年以上経っている今回のケースでは、Aはもう相続放棄できないのでしょうか?

 

A1.「今からでも相続放棄することが可能です」

相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内」にしなければならないと定められています(民法915条1項)。この「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは「相続人が相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時」を言います。

Aが、自分がBの法定相続人となった事実を知ったのは、Bが亡くなったことを知った時ではなく、借金の督促状を受け取った時といえます。なぜなら、Bから見て甥・姪にあたるAはBの死亡によって当然に法律上の相続人となるわけではないからです。本来、Bの死亡によりDが法定相続人となるはずでしたが、Dが相続放棄をしたことにより相続権がAに移りました。このように、AはBの死亡によって当然に法律上の相続人となるわけではなく、Dが相続放棄して初めて相続人となるのです。

今回のケースでは、Aが「自己が法律上相続人となった事実を知った時」とは「借金の督促状を受け取った時」と言えますので、この時から「3カ月以内」に相続放棄をすることが可能です。

 

Q2.「借金があるなんて知らなかった」

先週Aのところに1年以上前に亡くなった父(B)の借金の督促状が届きました。Bの相続人はAとAの兄(C)だけでした。Bは実家で事業を営んでおり長男であるCが家業を継いできました。Aは家業には全く関わっておらず、30年以上前に実家を出てからBらとは疎遠でした。四十九日の法要の際、Cから実家の土地建物については自分がもらいたいという話があり、Aも自分は何もいらないと答えました。その際Bに借金があるという話は全くありませんでした。

AはBの死亡によって当然に法律上の相続人になりますので、Bの死亡からすでに3カ月以上経過している今回のケースでは、Aは相続放棄できないのでしょうか?

 

A2.「今からでも相続放棄できる可能性があります」

「自己のために相続の開始があった時」については、原則としては【回答1】にあるとおりですが、例外として、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、そのように信じるについて相当な理由があると認められるときは、相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算するとしています(昭和59年の最高裁判決)。

また、相続財産の一部の存在を知っていた場合でも、相続人が、自己が取得すべき相続財産がなく、通常人がその存在を知っていれば当然相続放棄をしたであろう相続債務が存在しないと信じており、かつ、そのように信じたことについて相当の理由があると認められる場合には、「3カ月以内」という熟慮期間は、相続債務の存在を認識した時又は通常これを認識し得べき時から起算すべきと判断した裁判例があります(福岡高裁平成27年2月16日決定)。

今回の場合、AはBの遺産として実家の土地建物があることを知らされていますので、「相続財産が全く存在しないと信じた」という場合には当たらなそうですが、実家の土地建物はCが取得しAは何も取得しないことやAはBらとは長年疎遠だったこと、Aは家業に全く関わってこなかったこと等の事情からすれば、AがBに相続債務が存在しないと信じたことについて相当な理由があると認められる余地があります。したがって、Aが相続債務の存在を認識した時、つまり督促状を受け取った時から3カ月以内に相続放棄できる可能性があります。

 

相続放棄については、被相続人が死亡してから3カ月を経過していても認められるケースがありますので、一度弁護士にご相談ください。当事務所では、相続に関するご相談は初回(30分)相談料は無料です。

 

弁護士 鈴木麻理絵

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