2023年1月17日
夢対決
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて、新年早々大変なことになっています。将棋ファンに幸運が舞い降りました。
以前、この随想欄にて、将棋をテーマに執筆したことがあり(2021年夏号)、プロ棋士になることがいかに困難か、プロ同士の対局は紙一重で勝負がつくといったことを書きました。そして、最後に、「現在、多くの将棋ファンが待ち望んでいることがあります。それは、藤井聡太二冠(注:当時)と羽生善治九段の二大天才棋士によるタイトル戦です。」、「お二人のタイトル戦がもし実現すれば、まさにドリーム・マッチ」と書いたのです。
そのドリーム・マッチがついに実現することになりました。昨年11月22日、羽生善治九段が藤井聡太王将への挑戦権を獲得したのです。その七番勝負(先に4勝した方が王将位を獲得)が、今年1月から3月にかけて行われます(第一局は1月8日、9日)。
羽生九段は、2021年度は絶不調でした。プロ入り後初めて年間で負け越し、29年間(名人含む)在籍していた順位戦A級から陥落してしまいました。当たり前のことですが、棋士の中で当該タイトル保持者を除き全棋士のうちで1番にならなければ当該タイトルの挑戦者になれないわけです。羽生九段の不調振りからすると、今後タイトル挑戦者になることは難しいのではないかと誰もが思ったに違いありません。
ところが、2022年度に入ると羽生九段は完全復調。王将戦の挑戦者を決めるリーグ戦で、渡辺名人、永瀬王座、豊島九段(元竜王・名人)といった強豪を次々と撃破し、6戦全勝で藤井王将への挑戦権を獲得しました。羽生九段はタイトル通算獲得数が99期(歴代最多)で、あと1期獲得すれば節目の通算100期となります。
対する藤井王将は、「大天才」、「異次元の天才」と称され、これまで登場したすべてのタイトル戦で、タイトルを獲得、防衛しているという凄まじい結果を残しており、タイトル戦で一度も失敗したことがありません。
非公式のレイティングに基づく計算では、藤井王将が防衛する確率が圧倒的に高いそうです。しかし、羽生九段の今回の挑戦権獲得の復活劇はまるでドラマのようで、藤井王将といえども簡単に防衛できるとは思われません。
時に「AI超え」と言われる読みのスピード、正確さ、深さを誇る藤井王将と、「羽生マジック」と称され常識にとらわれない手を繰り出す羽生九段。どのような結果になるか分かりませんが、2人の天才が繰り出す一手一手は見逃せません。
(事務所誌ほなみ第133号掲載) 弁護士 小 淵 真 史
著者:小淵 真史
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