新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2020年1月29日

大切なものは、目に見えない

(事務書誌ほなみ 第127号掲載)

新年あけましておめでとうございます。

近年は、毎年一月に「今年の目標」を掲げていますが、達成できないことが多いです。今年の目標は「読書」にする予定ですが、その時間より確保すべきなのは、長男への絵本読みきかせです。

「絵本を読みかせると、子どもは寝る。」と聞きますが、長男は、すぐには寝ません。読みきかせの最中、長男は、別の絵本を見る、おもちゃで遊ぶなど、私の読む絵本を見なくなります。しかし、「興味ないのかな。」と思い、読みきかせを止めると、長男は怒ります。「ちゃんと見ているぞ。」と言わんばかりに。

読みかせる絵本の中でも、サン=テグジュペリ原作・奥本大三郎翻訳「星の王子さま」(サハラ砂漠に不時着した操縦士の「ぼく」が小惑星からきた王子と出会う場面から始まる、操縦士の回想録)は、読み応えがあります。本文四十五頁、内容も哲学的で、読みきかせに三十~四十分を要します。

「星の王子さま」の文中に出てくる言葉で、キツネが王子さまに言った「心で見るんだ。大切なものは、目に見えない。」は大変有名です。あとがきで、奥本さんは、「王子さまは、『心で見る』ので、大切なものを見のがさないのです。」、「作者は、とりわけ、他の人の気持ちを汲み取り、大切にすることを教えている」ように思えますなどと述べ、「言葉を大切に、いつまでも澄んだ目を持った人でいてください。」と締め括ります。「大切なものを心で見る」は、円満な家庭生活に必要不可欠だと思います。

一方、弁護士は、「大切なものは、目に見える」ようにします。依頼者の要望を、請求というかたちで表現し、視覚化します。そして、証拠を利用しながら、裁判所や相手方を説得し、「大切なもの」である依頼者の利益を実現するために活動します。「心で見るんだ」と伝えるだけでは足りません。

しかし、「弁護士的」によい内容の解決だと思っても、依頼者が直ちに満足・納得するとは限りません。弁護士の目指す「大切なもの」と依頼者の考える「大切なもの」が一致しないこともあります。たとえ、解決内容に直接反映できないとしても、依頼者の「大切なもの」を汲み取ることが必要です。その意味では、弁護士にも、依頼者の要望を、「心で見る」ことが求められているのだと思います。

このように整理すると、長男は、私が読む絵本を「心で見る」と同時に、弁護士業務も「心で見る」姿勢が必要だと私に教えてくれた、と考えるようになりました。この点は「単なる親馬鹿ではないか。」というご指摘があろうと思いますが、どうかご容赦ください。

最後になりましたが、本年もどうぞよろしくお願い致します。

弁護士 加賀谷 達郎

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