2017年6月1日
政務活動費の条例改正の陳情を行いました
本年5月31日、新潟市民オンブズマンは、「県議会議員の事務所賃料の支払いに政務活動費を充当する場合、議員においては、事務所の貸主に関する客観的資料を議会事務局に提出すること及び提出資料をホームページにより公開すること」を求める条例改正の陳情を新潟県議会議長に行いました。
これは、平成20年~23年度の新潟県議会議員に交付された政務調査費の支出の適法性が問題となった東京高等裁判所平成29年4月26日判決の、①事務所賃料の2分の1を超える部分を政務調査費から充当することは原則違法、②自己または親族が代表者を務める会社に事務所賃料を支払う際、当該会社の実質が議員本人や親族個人の個人企業と認められるなど、当該事務所の賃貸借が自己または親族からの賃貸借と同視できるときには、政務調査費の充当は違法(そうでない場合、事務所賃料の2分の1を限度に政務調査費から充当できる。)という判断を踏まえたものです。
この東京高裁判決の考え方により、議員が事務所賃料を政務活動費から充当する場合、議員は、貸主が議員本人またはその親族の個人企業でないことを客観的資料によって説明する責任を負うことが明らかとなりました。また、提出資料のホームページ公開によって、住民側でも政務活動費の充当が適切かを監視することができます。
今回の陳情は、以前から問題が指摘されている政務調査費(政務活動費)の事務所賃料に関するもので、かつ、東京高裁判決という根拠もあるため、排斥する理由は全くありません。本年6月の県議会の対応に注目したいと思います。
なお、この陳情に先立ち、平成24年度の新潟県議会議員に交付された政務調査費の支出が違法であるとして新潟地方裁判所に提訴した訴訟について、一部議員から政務調査費の返納(合計約160万円)があったこと及び使途につき一応の説明がされたことを踏まえ、全ての訴えを取り下げました。
私たちは、政務活動費(政務調査費)の支出が適切に行われているかについて、引き続き、目を光らせたいと思います。
弁護士 加賀谷達郎
著者:加賀谷 達郎
新潟県よりさらに冬が厳しい秋田県で生まれ育ちました(北海道に住んだこともあります。)。縁あって、学生時代を過ごした新潟で、弁護士として活動することができ、嬉しく思います。「弁護士」と聞くと「なるべく関わりたくない」という方が大多数かと思いますが、ご依頼された場合、法律・裁判例を念頭に置きながら、「依頼者の方にとって一番良い解決は何か」を考え、業務に務めたいと思います。雪国育ちですが、スキーはできません。しかし、寒さ・辛さにも耐える我慢強さ、簡単にあきらめない粘り強さには自信があります。TVドラマで登場する弁護士の様な華麗さはないですが、依頼者の方と誠実に向き合い、粘り強く、少しでも良い解決を目指したいと思います。
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