2010年5月11日
敷金って,返してもらえるの?
アパートやマンションを借りるとき,一般的には「敷金」と「礼金」を払います。これらのお金は,賃貸借契約が終了した後,返してもらえないのでしょうか?
礼金とは,貸主に「貸してくれてありがとう」と謝礼として渡したお金です。ですから,契約終了時に返還されないものとしてあらかじめ合意されているものです。つまり,礼金は返してもらえません。
一方,敷金とは,賃貸借契約から生じる債務を担保するために,契約締結時に賃借人から賃貸人に対して交付する金銭のことです。「賃貸借契約から生じる債務」とは,毎月の賃料とか,建物の損傷を元に戻すために必要な費用などがあります。つまり,借主が,賃料を払わなかったり,建物の破損を元に戻すための費用を支払わなかったりした場合,貸主はこれらを支払ってもらう代わりに,敷金を返さないことができるのです。
では,たとえば襖紙や障子紙が生活する中で変色・汚損した場合(手垢やたばこなど),貸主は敷金を返さないことができるのでしょうか?
建物の賃貸借契約は,借主に建物を使ってもらうことを予定している契約です。人間が使う以上,きれいに使っているつもりでも,ある程度の汚れは発生します。このような汚れであっても,普通,貸主は,次に借りる人のために補修をします。ですが,このような補修費用は,借主が毎月支払っている賃料の中に含まれています。つまり,貸主は,借主から毎月もらっている賃料の中から,補修費用を払わなければならないのです。なぜなら,借主は,貸主から「あなたが悪いのだからお金を払ってもらいます!」と責められる理由がないからです。
ですから,あなたが「敷金を返してください」と言った場合に,「あなたは壁を汚しただろう」と言われても,それは返還を拒む理由にはなりません。
ただし,契約の内容によっては,通常の使用による補修費用も支払わなければならない場合があります。あなたの契約がどのような内容か,によって敷金を返してもらえるかどうかが違ってきます。また,通常の使用を超える場合には,「あなたが悪い」と言われても文句は言えないので,敷金を返してもらえません。
「じゃあ,私は敷金を返してもらえないの?」とお悩みの方は,契約書をご持参のうえ,当事務所の弁護士にご相談ください。
弁護士 黒沼 有紗
著者:金子 修
まず相談を。少しの費用で(無料の場合もあり)、トラブルの解決の道がわかるだけでも全然違います。相談を受けてまた考えれば良いのです。お気軽に、受話器を取ってください、メールを送ってください。
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