新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2019年8月27日

配偶者保護についての3つのポイント

今回の相続法改正では、配偶者の死亡(相続開始)によって残された配偶者が保護されていることが注目されます。高齢化社会が進むなかで残された高齢の配偶者についても生活保障をはかる必要が高まっているからです。以下の3点が重要です。
第1は、配偶者短期居住権の新設です。夫婦が住んでいた不動産であっても、その名義が亡くなった配偶者の場合、改正前は、残された配偶者がその不動産に居住できるかどうかは不明確でした。そこで新法は、相続開始時に、配偶者が被相続人の建物に無償で居住していた場合、無償で一定の期間居住することができるようになりました。この期間は、遺産分割によって居住建物の帰属が確定した日か、相続開始の時から6か月を経過した日のいずれか遅い日までです。この居住権は相続関係者の意思表示とは関係なく成立します。
第2は、配偶者居住権の新設です。残された配偶者とそれ以外の相続人が遺産分割協議をする際に、都市部のように不動産の価格が高額の場合は、配偶者の法定相続分を考慮しても居住不動産を取得することを躊躇するようなケースが見られました。そこで残された配偶者が相続開始時に被相続人の居住建物に居住していた場合、配偶者が死亡までの間、原則として無償でその不動産に居住することができるようにしたのです。これは配偶者一代限りの権利ですが、不動産の所有権より低額に評価されるため、配偶者の法定相続分に応じて他の相続財産(たとえば預貯金)をより多く取得でき、配偶者のその後の生活の安定をはかることができるようになりました。
第3は、婚姻期間20年以上を経た夫婦について生前贈与の取り扱いに関する規定が新設されたことです。夫婦の居住不動産について、その所有者(たとえば夫)が生前に他方配偶者(妻)に贈与や遺贈することがありますが、改正前は、贈与や遺贈を受けた配偶者の特別受益となり、遺産分割にあたって「異なった意思表示」(持戻し免除)の意思表示が認められなければ、具体的相続分の算定にあたり持戻しの問題が発生しました。このような持戻しを行うことは、被相続人の意向や実質的公平の見地から問題になる余地があったため、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住不動産を遺贈や贈与した場合、持戻し免除の意思表示があったものと推定するという規定が新設されました。居住用不動産は夫婦の協力で形成された財産であることが多く、生前に無償譲渡された場合でも、後日の遺産分割で持戻しを行うことを求めていたとはいえない場合が多いと考えられることから、特別受益と持戻しに関するこれまでの取り扱いを逆転させたものです。これはあくまでも推定規定であり、みなし規定ではありません。

弁護士 中村 周而

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