2010年2月3日
韓国裁判所探検隊、危機一髪(その1)
(2010年正月号ほなみ掲載)
韓国好きの私は、年に何回かふらり韓国へ行き仕事のストレスをいやす。だいたい2泊3日程度だが、日本国内を旅行するよりは安上がりなので、わりと気軽に行くことができる。
2009年春、「韓国裁判所探検隊」と称して知り合いの若い弁護士6人と韓国へ行った。裁判所探検隊だから韓国の裁判所を探検する。今回はソウル市郊外の水原(スウォン)市にある水原地方裁判所(韓国風では「水原地方法院」)を探検した。
残念ながら韓国語は日常会話程度しかできない(同行者たちは全く)。しかし、韓国の裁判制度は日本とよく似ており「日本での知識があれば、建物や法廷をのぞいて雰囲気だけでも感じられるはず」という気軽なものだった
あいにくの雨の中、水原駅からタクシーに分乗して裁判所に向かう。裁判所は茶色のずんぐりした4階建てで、敷地内の駐車場はすでに車でいっぱいだった。
地元の人たちに混じって中に入り、開廷している法廷を少し傍聴して(どうせ言葉は分からない)、すぐ帰ってソウルで美味しい昼食でも食べるつもりだった。私たちはみな私服(ジーパン、トレーナー姿)でいかにも観光客という顔をしており、どう見ても弁護士には見えない。きちんとした身なりの地元の人たちと比較したら明らかに浮いていた。
1階ロビーに入った。すると、中にいたピシッとしたスーツ姿の職員と目が合った。場ちがいな怪しいグループに見えたのかもしれない。視線をそらさないままを私たちに近寄ってきた。ヤバイ、なんと説明すればいいのだ!
しかしそこは裁判で鍛えたクソ度胸で、たどたどしい韓国語をあやつり、「私たちは日本の新潟から来た弁護士です。」「勉強のために法廷を傍聴したいと思って来ました。」などと必死になって説明した。「怪しい者ではありません。」(ますます怪しい)。
その職員は携帯電話を取り出し何やら話をした後、表情を変えず「ここで待つように」と言い去って行った。
しまった。そうだよ、裁判所なんておよそ観光スポットではないし、日本人が韓国の裁判所に用事があるわけもない。弁護士だと言うが、とても弁護士には見えない身なりだし。これは怪しい外国人として尋問でも受けるのか、警察が来るのか。国家保安法のある国だし、北のスパイと思われたら・・・。
警備員らしい服装の職員も2人、鋭い視線を私たちに向ける。「私たちは怪しい者ではありません」と愛想笑いを向けたが、全く反応してくれない。だんだん冷や汗がにじんできた。私たちは悄然と立ちすくんだ。 (つづく)
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弁護士 金子 修
著者:金子 修
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