2008年4月17日
食品の偽装表示について
(2008年1月20日発行ほなみ掲載)
最近,消費期限を偽ったり,原料の産地を偽る事件が相次いでいますが,このような偽装表示問題について,法律はどのような規制をしているのでしょうか。
食品表示に関する法律はいくつかありますが,主に問題となるのは,JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律),食品衛生法,不正競争防止法です。
JAS法は,原産地や消費期限などの正しい表示を義務づけ,食品衛生法は食品による衛生上の被害防止が目的で,消費期限や保存方法の表示を義務づけています。また,不正競争防止法は,業者間の不正な競争確保が目的で,違反すると直ちに警察の強制捜査が可能になります。
消費期限と賞味期限はどう違うのでしょうか。
消費期限とは,定められた方法により保存した場合において,腐敗,その他の食品の劣化に伴う衛生上の危害が発生するおそれがないと認められる期限を示す年月日のことを言います。例えば,弁当,調理パン,惣菜などが挙げられます。基本的に品質が劣化しやすく,製造年月日を含めておおむね5日以内に消費すべき食品に付けられる表示です。
一方,賞味期限は,定められた方法により保存した場合において,食品の全ての品質が十分保たれていると認められる期限を示す年月日のことを言います。例えば,清涼飲料水,即席めん,冷凍食品などが挙げられます。
分かりやすく言えば,品質が劣化しにくく,美味しく食べられる期間が賞味期限で,安全に食べられる期間が消費期限ということになります。
なお,消費期限と賞味期限のどちらを表示するかは,法律で義務づけられておらず,製造業者の判断にゆだねられています。
食品偽装問題が数多く発覚していますが,これらはどのようなきっかけで発覚しているのでしょうか。
食品偽装の問題は,農林水産省や地方自治体等への告発がきっかけで発覚するケースが多いと言われています(農林水産省では告発受付窓口の「食品表示110番」を設置し,情報提供を呼びかけています)。
最近は偽装が発覚したときのダメージを考えて,自主回収する業者が増えてきており,農林水産省でも,「自主申告情報」として,同省のホームページに企業名を掲載するシステムを立ち上げています。
(弁護士小川和男)
著者:小川 和男
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