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2018年7月20日

勲章と憲法(その三・完)

日本国憲法下の叙勲と父の場合

日本国憲法では、叙勲は「栄典の授与」と言い、内閣の助言と承認により天皇が国民のために行う行為(国事行為)とされています(第7条7号)。しかし、栄典とは何かとか、どんな勲章をどんな人に与えるのかの基準や誰がどんな手続で決めるのかといった法律はなく、政府が一方的に制定できる政令があるだけです。

内閣府のホームページをのぞくと、栄典は、「国家や社会への永年の功労あるいは社会の各分野における優れた行いに対して国家が個人を顕彰する制度であり、このような制度は洋の東西を問わず広く世界各国共通に存在する制度である」と言っています。

まぁ、『栄典』というのはそれで良いとしましょう。

しかし、私が疑問なのは、今の憲法が明治憲法の反省の上に立って国民主権を基本的な原理としているのですから、叙勲(栄典の授与)は、国民全体がその方が叙勲にふさわしいとして贈ると体裁をとるべきで、天皇の授与行為も、「国民を代表して授与する」とか「国民になりかわって授与する」と明示して行うというのが正しいのではないかと思います。ところが、父の叙勲の際の言葉は、『日本国天皇は金子〇〇に旭日小綬章を授与する 皇居において璽をおさせる。』となっていて、まるで、天皇が自らの意思で与えるという体裁でした。明治憲法っぽくて違和感があります。

また、勲章の種類は、大中小とか、勲〇等とか、順位をつけて、国の目線で「貢献度」に差をつけるような体裁になっています。「国家や社会への永年の功労あるいは社会の各分野における優れた行い」(内閣府ホームページ)に差をつけることなんか、そもそも出来るのでしょうか。分野ごとに勲章の種類をもうけて原則として差をつけないというのがふさわしいように思います。

やはり、国会で十分議論して「栄典授与法」というような法律を作るべきですね。

弁護士  金 子  修

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