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2009年11月16日

韓国裁判所探検隊(その2)

「待て」と言われたのだから待つしかない。しばらくすると、右手廊下からさっきのスーツの職員と少し黄色がかった揃いのシャツを着た小柄な若者が2人やってきた。警備の職員かもしれない、このまま全員どこかへ連行されるのか、日本大使館へ連絡してもらおうか、などと悪い方へ思いが行く。
だが、さっきとは打って変わって表情が緩い。スーツの男性がにこやかな顔で近づいてきた。よく見るとイケメン。シャツの若者2人が建物内を案内するとのことだった。日本語ができるという。
ホッとした。しかし何の用事もなく観光気分で来た我々にそのようなサービスはもったいない。公的サービスとして行き過ぎではないか、と思ったが適切な韓国語が出て来ない。やむなくニコニコしていたら、イケメン職員も納得顔で、私の後ろにいた6人も手招きしてくれた。
こうして私たちは、“わざわざ韓国の裁判所を研究に訪れた日本人弁護士グループ”として接待されることになってしまった。まッ、イッかということで、その流れに任せることにした。
金属探知機をくぐって(ソウルの裁判所でも法廷棟に入る際には金属探知機をくぐった)、2人のシャツ職員の案内で民事裁判、刑事裁判の法廷をのぞいて、傍聴席にしばらく座った。法廷は新潟地裁よりやや小さく天井も低いが、照明や椅子や机の色あいなど雰囲気は洗練されていた。法廷と傍聴席を仕切るバーはなかった。
あいにく劇的な場面(離婚裁判で奥さんが夫をなじっているとか、刑事裁判で被告人が反省のあまりヨヨっと泣き崩れるとか)には出くわさなかった。刑事事件では判決の言い渡しをやっていて、被告人3人が順番に裁判官の前に呼ばれ宣告を受けていた(早口の韓国語で内容は理解できない)。若い小太りの裁判官が、判決書の下書きのような紙をめくりながら、事務的に判決内容を告げていた。日本のように、量刑の理由を噛みくだいて語りかけるようなことは全くなく、傍らの刑務官に促されてようやく自分の判決言い渡しが終わったことに気づいた被告人もいた。
案内の途中で、わがグループの女性が、「日本の裁判員裁判と同じような“参与員裁判”をやっていませんか。」と質問した。シャツ職員は、参与員裁判が行われる法廷をチラッと見せてくれ、「ここではあまりやっていない。」とのことだった。「どうして?」と聞くと、2人で顔を見合せ「あまり人気がないから。」と答えてくれた。
20分ほどで建物内を見終えた。打ち解けた雰囲気になって聞くと、案内してくれたシャツ職員のうち1人は6ケ月ほど京都の立命館大学に通っていたとのことだった。
(つづく)
弁護士  金  子   修

韓国裁判所探検隊(その2)

著者:

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