2013年5月23日
原発賠償の消滅時効について(東日本大震災)
本年5月21日、衆議院本会議で、東京電力福島第一原発事故の被災者が、
民法の損害賠償請求権の時効(3年)を過ぎても東電に賠償を求められるようにする法案が可決されました。
一部報道では「時効撤廃特例法案」などと言われていますが、その内容は
「原子力損害賠償紛争解決センターに申立てをして東電との交渉が不調に終わった」場合に
「交渉打ち切り通知を受け取ってから1カ月以内に裁判所に賠償請求訴訟を起こせる」
というものにすぎず「時効撤廃」といった内容ではありません。
そもそも、避難者の方々が現時点で正確に自分の「損害」を整理できませんし、
同センターへの申立てを行っている方は避難者全体からすればごく少数です。
さらに、この法律では、同センターに申し立てた範囲でしか救済を受けることができず、
被災者の救済の視点からは十分なものとは到底言えません。
本当に被災者の救済を考えるのであれば、
「原発事故を原因とする損害賠償請求権については、消滅時効 の適用を撤廃する」
といった新たな立法措置が不可欠です。
原子力損害賠償に関するご相談、避難されている方のご相談は無料です。
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弁護士 二宮 淳悟
著者:二宮 淳悟
2010年12月 当事務所入所 ・2012年~新潟県弁護士会 東日本大震災復興支援対策本部 本部長代行 ・2015年~新潟県弁護士会 憲法改正問題特別委員会 副委員長 ・2019年~新潟県弁護士会 糸井川大規模火災対応本部 事務局長 ・2020年~新潟県弁護士会 学校へ行こう委員会 副委員長 ・2023年~新潟県弁護士会 刑事弁護委員会 副委員長 ・2012年~日本弁護士連合会 災害復興支援委員会 運営委員 ・2018年~関東弁護士会連合会 災害対策委員会 副委員長