新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2013年9月6日

沖縄ピースツアー

この4月、年金者組合の有志が企画した沖縄ピースツアーに参加した。案内者は新潟沖縄県人会の会長でもある上地源光さん。ひめゆり平和資料館、旧海軍司令部豪、平和の礎を訪ねたほか、嘉手納基地や辺野古基地の周辺にも立ち寄り、首里城、今帰仁城址、中城城址などの世界遺産の見学も堪能した。 沖縄本島南部にある糸数アブチラガマには、今回、初めて訪れた。アブは深い縦穴、チラは崖、ガマは洞窟を意味する方言だという。入場者はヘルメットを着用し、畑のなかにある目立たない入口からガマに降りていく。内部には照明がなく、沖縄戦のことや歴史にとても詳しい地元のガイドさんに導かれて、懐中電灯で足場を確かめながら狭い通路を辿った。 糸数の住民約200人がこのガマ(鍾乳洞)に避難したのは、沖縄戦で米軍の艦砲射撃が始まった直後の1945年3月24日のこと。ガマは地上戦が激しくなった4月中頃には南風原陸軍病院の分室になったが、軍医、看護婦、ひめゆり学徒隊が配属され、約600人以上の負傷兵で埋め尽くされた。5月25日の南部撤退命令で病院が撤退した後は、住民や負傷兵、日本兵が取り残された。米軍は黄燐弾を投げ込んだり、ガソリンの入ったドラム缶をガマに流し込んだり、出口を土で塞ぐなど様々な攻撃を仕掛けたが、住民と負傷兵の何人かが生き残って救出されたという。 入場者は、暗闇のなかで臨場感あふれるガイドさんの説明を聞きながら、懐中電灯の光によって鍾乳洞の中から浮かび出たスペースが、脳障患者や破傷風患者の隔離場所だったり、治療室、死体安置所、便所、病棟、住民避難所、監視所であることを確認し、68年前にこの場所で実際に起きた出来事をあれこれと想像しながら全長270メートルの洞内の出口に辿り着いた。

 アブチラガマでの体験も含めて、沖縄戦や沖縄問題の一端に触れることができた有意義なツアーだった。約20万人が戦没した沖縄戦では、沖縄出身兵と一般住民の犠牲者数が12万人余りを占め、当時の沖縄県住民(約50万人)の4人に1人が亡くなったという。その沖縄に何故米軍基地が集中し、米国内には不要論さえある海兵隊が駐留し、今、改憲の動きが活発化しているのか。今回のツアーを契機に、改めて沖縄問題と平和憲法に対する理解を深めたい。

                       弁護士 中 村 周 而

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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