新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

電話番号:025-245-0123(受付日時:平日9:00~17:00)
受付日時:平日9:00~17:00

相談受付フォーム(予約専用)

相談受付フォーム(予約専用)

2014年1月7日

新年近況

(事務所誌「ほなみ」2014年正月号掲載)

 明けましておめでとうございます。

 昨年6月、原子力規制委員会で原発の新規制基準が決まった後、東京電力は柏崎刈羽原発6・7号機について規制基準への適合審査の申請をしました。福島原発事故の検証や総括が十分になされないまま急きょ策定された新規制基準は、これまで実施されてきた「立地評価」を外すなど多くの問題点が指摘されているだけに、再稼働の結論ありきの審査に向かっているのではないかととても心配です。

 国会事故調は福島原発事故について「これまで何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局及び東電経営陣が、それぞれ意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことによって、安全対策が取られないまま3.11を迎えたことで発生した」と指摘していますが、同事故調の黒川委員長は「今回の大事故に、日本は今後どう対応し、どう変わっていくのか。これを、世界は注視している。この経験を私たちは無駄にしてはならない」と述べています。問題は、事故の教訓をどのように生かし、どう変わるかです。

 しかし、新規制基準や適合審査申請の一連の動きを見る限り、規制当局も東電経営陣も「変わった」と言えるのかどうか疑問です。昨年末、「現役キャリア官僚」の告発ノベルとして話題になった「原発ホワイトアウト」を読みながら、「原発はまた、必ず爆発する!」と謳ったこの小説の宣伝文句がとても気になりました。

 「変化」が問われているのは、戦後日本最大の健康被害といわれる水俣病問題に対する国の対応も同様です。昨年12月、新潟水俣病の被害者22人が国と昭和電工を相手にノーモア・ミナマタ第2次新潟全被害者救済訴訟を提起しました。原告の平均年齢は72歳。すでに熊本では180人の水俣病被害者が裁判を進めています。昨年4月には最高裁が従来の国(環境省)の厳格すぎる認定基準の見直しを迫る判決を出し、10月には公害健康被害補償不服審査会も最高裁判決に従った裁決をしたのに、国は認定基準を変えようとしません。一昨年7月末に国が水俣病特措法の救済申請の受付を締め切ったことにより、多くの水俣病被害者が救済を受けられないまま放置されています。

 水俣病問題の最終解決をはかるには、国がこれまでのような硬直的な対応を改め、水俣病問題の解決に真剣に向き合い、認定基準の見直しだけでなく、これまでのツギハギ的な救済制度そのものを抜本的に変えることが必要です。裁判を起こさなければ対応を変えようとしない国の姿勢に改めて怒りを禁じ得ません。

 最後に私ごとになりますが、今年も健康に留意し、日頃からできるだけ足腰を鍛えて、少しずつ自らの「変化」を心がけたいと思います。

 弁護士 中村 周而 

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

« 次の記事
前の記事 »
トップへ戻る
新潟合同法律事務所