新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2015年1月28日

新潟水俣病50年目の現在

 

 

今年の6月で公式発表から50年目を迎える新潟水俣病ですが、今なお多くの被害者が救済を受けられない状態で放置され、裁判等を余儀なくさせられています。

 新潟では水俣病特措法によって1811人(全国では3万2244人)の被害者に一時金が支給されましたが、救済が認められなかった92人は、現在、新潟県に対して異議申立を行っています。

 また、特措法の締め切り後に水俣病と診断された人も含めて46人の原告が、国と加害企業である昭和電工を被告としてノーモア・ミナマタ新潟第2次全被害者救済訴訟を闘い、65人の被害者が公健法に基づく認定申請を行っています。熊本、大阪、東京でもノーモア・ミナマタ第2次訴訟が進められており、熊本では600人が原告として参加しています。

 阿賀野川流域の4市町を対象に昨年10月から11月にかけて取り組まれた「新潟水俣病掘り起こし集中月間」では、新聞折り込みのチラシやテレビを見た44人から問い合わせがあり、35人が水俣病の診断を受けることになりました。多くは、自分が水俣病と気づかなかったり、社会的偏見等から名乗り出れなかった方々で、改めて水俣病問題の被害の広がりと深刻さを痛感させられます。

 水俣病問題の解決に向けて被害者と一緒に闘ってきた新潟水俣病共闘会議は、ノーモア・ミナマタ新潟第2次訴訟をはじめとする水俣病闘争をさらに盛り上げ、その力となるような50周年事業を独自で企画しようと活発な議論を重ねています。

 行政は50周年事業をどのように取り組むのか。これまで水俣病問題に積極的に取り組んできた新潟県は、「新潟水俣病の歴史を知り、教訓を考えよう」をテーマに50年事業を通年事業として実施するようです。

 国(環境省)には、半世紀を経て今なお水俣病に苦しんでいる被害者をどのように救済するのかが問われているにもかかわらず、これまでの救済制度を是正する様子は見られませんし、新潟水俣病50周年にどのような姿勢で臨むのかも不明です。

 平成22年5月1日の水俣病犠牲者慰霊式で、鳩山首相(当時)は、「熊本、鹿児島にとどまらず、さらに後年、新潟で第二の水俣病が引き起こされたことは、誠に痛恨の極み」と述べ、政府を代表して謝罪したにもかかわらず、24年7月末には一方的に特措法の救済受付を締め切りました。

 現在、係属中のノーモア・ミナマタ新潟第2次訴訟で、国は、原告の主張する水俣病の被害拡大を防止する義務違反や水質二法に基づく義務違反の主張に争う構えを示すなど、水俣病問題の解決に真剣に取り組む様子は見られません。

 新潟水俣病公式発表から50年目の現在、悲惨な公害被害者を救済し、これ以上増やさないようにするためにも、改めて第2の水俣病を発生させた国の責任を厳しく問い直すことが必要のように思います。

                     弁護士 中村周而

 

 

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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