新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2015年8月11日

「平和主義」の価値を見つめる

 私たちは、中学校の公民の授業で、日本国憲法の三大原理は、国民主権(民主主義)、基本的人権の尊重、平和主義であると習った。

 このうち、民主主義と基本的人権の尊重は、私たちに身近なものとして理解されてきた。人権が守られなければ民主主義はなく、民主主義がなければ人権が守られることがないと知っている。しかし、3つめの「平和主義」はこの2つとは少し異質なものと捉えられがちであった。戦争体験のない国民が大多数を占めるようになり、「平和主義=戦争の放棄」と人権や民主主義の関係を実感することがなくなっていたのである。

 現在の安保法制で、国民は「平和主義」に目覚めた。安倍総理は、「戦争法案というレッテル貼りをする野党は恥ずかしい」と発言し、与党議員は、安保法制に反対するマスコミに対し、報道に圧力をかける言動に及んでいる。これまでも世論を二分する法案はたくさんあった。しかし今回は空気が異質である。「国際社会に貢献」という美辞麗句に隠された異様な雰囲気に国民が気付き始めている。「国のため」「国を守る」と言い出したとき、権力者は言論弾圧に走り、国民は声を挙げられなくなる。安倍総理の発言や自民党議員の動きは既にそのことを示している。

 集団的自衛権の行使を法律上容認すれば、欧米国からの協力要請の外圧は強まり、日本は一部の国や組織から武器を持った敵国とみなされる。自衛官が銃を持てば、殺される可能性がある。テロを受けるかもしれない。自衛官が戦死したりテロ攻撃を受ければ、アメリカがそうであったように、「自衛のため」の大義名分のもと、限定要件は拡大解釈され法改正がなされ、戦争をしなければならないという雰囲気が生まれる。その雰囲気を知った敵国は本格的な攻撃態勢を取る。そして戦争が始める。そして戦争に勝つために兵力が足りないと判断すれば、徴兵制が敷かれる。

 思い返せば、第二次世界大戦中の国民は、本当に戦争を望んでいただろうか。若者が本当に喜んで戦争に行き、自ら、人を殺し、殺されることを望んだであろうか。国策に反対することが許されなかったのである。戦争は、言論の自由を奪い、民主主義を崩壊させ、若者を戦地へと導き人の命を奪う。集団的自衛権の行使を容認しても、戦争する国にはならないなどという政府答弁は、過去の歴史からも見ても、まゆつばと言ってよい。今回の安保法制は、我が国を他国からの攻撃の標的として名乗りを挙げ、戦争をする国に向けての歴史的大転換を意味する。

 平和があってこそ、人権が保障され、民主主義は機能する。憲法の三大原理は、三脚のように、お互いに支え合っている。私たちは、今回の安保法制の議論を通じ、そのことを実感しはじめている。

 私には二人の娘がいる。女の子で良かったと率直に思う。我が子が兵として戦地に駆り出されることを、リアリティをもって考えなければならない時期が来ている。

 弁護士 近藤明彦

著者:

話しやすい雰囲気で相談・打合せを行い、丁寧な事件処理をすること。依頼者の皆様の満足と納得を最優先にし、安心感を得ていただけることを目標として頑張っています。以前依頼者であった方から、別の事件の相談を再び受けること(リピート)、別の相談者を紹介していただくこと(孫事件とでも言いましょうか)が多く、そのことが私にとって大きな励みになっています。お客様から満足していただけたかどうかのバロメーターであると考えるからです。

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