新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

電話番号:025-245-0123(受付日時:平日9:00~17:00)
受付日時:平日9:00~17:00

相談受付フォーム(予約専用)

相談受付フォーム(予約専用)

2015年8月28日

大量の「生涯派遣」労働者を生み出す派遣法改正

  6月19日に衆議院を通過した労働者派遣法改正案ですが、もっとも大きな問題のひとつは、法案が改正されれば、今まで以上に大量の、しかも「生涯」派遣労働者が生み出されることです。

 現行法では、工場のラインや企業の課などの業務ごとに一般業務の派遣を受け入れることができる期間の制限を「原則1年、最長3年」と定めており、3年を超えて同じ業務で派遣を受け入れることはできません。それ以上業務を継続すれば、派遣先の責任で直接雇用にすることが求められます。

 ところが改正案では、派遣労働者個人の派遣期間が3年とされます。3年を超えても、同じ派遣先の課やラインを変えれば、直接雇用にしなくても、派遣として雇用を続けることができることになるのです。

 しかも、派遣から正社員に転換される道が閉ざされます。現行法では、3年を超える業務で労働者を受け入れようとする場合、派遣労働者に直接雇用を申し込むことが義務づけられていますが、改正案はこの条項は削除されています。

 したがって、これまで正社員が働いている職場が、派遣社員に置き換えられ、今まで以上に大量の「生涯派遣」労働者を生み出しかねない危険があるのです。

 派遣労働者は、正社員に比べて一般に収入が少なく、派遣先の都合で簡単に失職するという不安定な状態に置かれています。改正されれば、格差がさらに広がり、家庭を持ったり、子育てができない若者が増えることは必至です。

 使用者からみても、3年ごとに入れ替わる派遣労働者が従業員の多くを占めるようになると、職場で責任ある地位を担う人がいなくなり、経営にも悪影響を及ぼしかねなくなります。このような派遣法の改正を絶対に許してはなりません。

 

弁護士 中村周而 

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

« 次の記事
トップへ戻る
新潟合同法律事務所