新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2016年3月9日

BRT住民投票意見陳述

BRTの住民投票を求める意見陳述を本日、新潟市議会本会議で行いました。

意見陳述の内容は下記のとおりです。

市議たちには市民の切実な声に真摯に応える姿勢を示していただきたいと思います。

この度は貴重な時間をおさきいただきありがとうございます。
これから約6万の市民を代表してお話させていただきます。

まず、この議会で問われていることを明らかにいたします

問われているのはが妥当かどうかではありません

市民の意見を聞く場を設けるか、市民の声を信頼するのかどうか、それが問われています。

私たちはに反対してほしいとは、今、ここでは申しません。せめてBRTについての意見を反映させる場をもうけてほしいと言っているのです。

は必要だという方もいらっしゃるでしょう

多くの政策は、ある人にとっては有益な政策に見え、同時に別の人にとっては誤った政策に見えます。

民主主義のもとではこの矛盾は民意により決めるほかありません。ある政策について、多くの人が反対している、でも自分が有益だと思うから推し進める、ということでは、独裁国家と同じとなってしまいます。

私たちは、生まれながらにして、自分たちの大事なことを自分たちで決める権利を持っています。

これは単なる理念ではありません。民主主義により運営する国、社会こそ、大きな目で見れば発展しているのです。民主主義への歩みは後戻りできません。前進しかないのです。

しかし、民主主義といっても、外国で行われているものをそのまま輸入する必要もありません。日本には日本の、新潟には新潟の民主主義、地方自治が必要です。
そして、新潟市議会で真剣な議論を重ね、新潟市に適合した、市民自治によるまちづくり、かつてないまちづくりを目指すものこそ、新潟市自治基本条例なのです。

その自治基本条例は重要な問題について住民投票をするとしています

住民投票については、条例制定過程から代議制民主主義との関係が問われました。しかし、重要な事項に限り、議会が作った自治基本条例に基づき、さらに議会が個別の住民投票条例を作り、住民投票で示された民意を参考にして、市民と議会が共働して政策を具体化していく。このような自治基本条例の想定する住民投票の在り方は、代議制民主主義を大前提としつつ、民主主義や住民自治の理念を、新潟の歴史や風土に合わせ、具体化したものなのです。

しかし、市長は、一貫して住民投票に消極的です

自治基本条例をから証文にしようとしているのです。

私は皆さまのご尽力で成立した自治基本条例をから証文とすることに同意することはできません

この条例の理念である市民自治によるまちづくりが、あるべきだというだけでなく、実現可能であるということ、そのことは皆様方の力にかかっています。

皆さま方の力で、自治基本条例の理念が実現されるのであれば、それは他の自治体の模範となります。新潟市および市民が、他の問題についても、協働して、困難な問題を取り組む際の原動力となります。

新潟市が地方自治の輝かしい前例をつくるかどうかはみなさんにかかっているのです

新潟交通は春ダイヤを発表しました
直通便が増やされました。しかし、増やされたといっても直通便は全体のごく一部です。連接バスは第一高校前には停まっても、新潟高校・商業高校・中央高校の最寄り停留所である白山駅前には停まりません。

連接バスは各停留所に停まらないのに、各停のバスより余計時間がかかるというありさまです。

そうはいっても一定程度便利さは取り戻されるでしょう

これで様子見をするという気休めが正当化されるでしょうか

様子見をすることは有益なものをもたらしません

来年度予算で3億円近くがに費やされようとしています

第2期工事の予算も計上されようとしています

市民がいかに不満をいだこうが、着々とが拡大されようとしています。貴重な税金が使われつつあります

様子見をしてどこで引き返すのでしょうか

様子見をすることで、これだけ金を使ったのでもう引き返せない、という言い訳がより強く言われるようになるのではないでしょうか

今こそケジメをつけなければならないのです

市長に説明責任を求めればよい、と言わないでください。

今まで説明責任が果たされたことがあったでしょうか

新潟市はいまだに必要な説明をしていません

一例を申し上げます

市長は、新バスシステム導入後、乗客数が3パーセント増えたと説明しています。しかし、その数値は、乗換割引を使わないで乗り換えをしている乗客のダブルカウントを考慮していません。その数値は、それまでカウントされていなかった南区方面のバスの利用者が、9月以降カウントされるようになったことを考慮していません。説明責任を果たすどころか、誤った方向に誘導するような説明がなされているのではないでしょうか。

今まで説明責任を果たしてこなかった当局が突然説明責任を果たすようになるという楽観論によって必要な判断を避けないでください

市長は、連節バスを含めた新バスシステムにより持続可能なバスシステムが可能になる、だから住民投票は必要ないと主張します。

要するに、は素晴らしいのだ、だから住民投票などする必要はないのだ、と言っているのです。

私は新バスシステムが持続可能だという主張に異論があります。古町や本町の方々がお客さんが減ったとおっしゃっているところから分かるように、新バスシステムによりバス離れが進んでいると考えるからです。古くからゾーンバスを導入していた大阪市でもゾーンバスからは撤退しています。盛岡でも2路線でゾーンバスから撤退しています。

しかし、この点について今日は詳しく説明はいたしません。

言いたいことは、市長が持続可能なバスシステムのために新バスシステムが必要だと考えるのであれば、その考えについて市民に信を問えば良いのではないか、ということです。

新潟市民は立場は違えども、みなさんが新潟市を愛し、新潟の公共交通について関心を寄せ、適切に判断する力を持っているのです。市長が持論に自信を持っているのであれば、市民の判断を仰げばよいのではないでしょいか。新バスシステムが必要だから、すばらしいから住民投票をする必要がない、という主張は明らかに論理の飛躍です。

新バスシステムに賛成の立場から見ても、反対の立場から見ても、住民投票をせず、いつまでも市民の不満がマグマのようにたまっている。そのような状態は円滑な市政運営にとってマイナスではないでしょうか。

市長は春ダイヤで改善がなされた、持続可能なバス交通の実現に向けて着実に前進をしている、だから住民投票は不要だと主張します。

春ダイヤにおける一定の改善点は直通便が増えたことです。しかし、新潟交通は、これ以上直通便を増やすことは難しいと言っています。新バスシステムの中でやれるところは大方やったというところでしょう。そうであれば、春ダイヤで改善され、ほぼ完成形になった新バスシステムで良いのか、それでは不十分なのか市民の信を問えばよいのではないでしょうか。「着実な前進」で十分なのか、不十分なのか、春ダイヤの運行を踏まえ市民の信を問えばよいのではないでしょうか。

春ダイヤで一定の改善がはかられたことが住民投票をしない理由になるとは思われません。

市長は、私たちの求める住民投票が、新バスシステムの賛否を問うだけであり、具体的に何に賛成か、反対か、決めることができないと言います。住民投票を実施しなくても市民の声に耳を傾ける、と言っています。

しかし、世論調査や新潟市の実施した反復型意識調査の結果、つまり新バスシステムに反対だという世論を市長は政策に反映させてきたのでしょうか。

第1回反復型意識調査では、新バスシステムにノーの回答が多数でした。そして、ノーの回答をされた方の中で、新バスシステムより他に金を使うことがある、という回答をされた方が一番多かったようです。新バスシステムに対する根源的な疑問です。それでも市長は新バスシステムを根本的に見直すことはしませんでした。市民の声に耳を傾けてなんかいないのです。

市長が、世論調査や反復型意識調査の結果に向き合わないので、私たちは市長が市民の声に向き合うようにするため、住民投票の実施を求めているのです。

住民投票の結果だけで今後の具体的方向性が決まらないのは確かです。

しかし、新バスシステムについての大きな方向性は示されます。その後は、その大きな方向性に沿い、審議会や自治協議会、自治会などで、市民、議会、市当局、専門家を交えて具体的な方向性を練り上げていけばよいのです。現在のインフラを活かして基幹交通を発達させる方法としてはゾーンバスシステム以外にも、アデレードの方向別統合型路線など、いろいろなものがあります。そのような例も参考にしつつ、みんなが智慧を出し合えばよいのです。それが、新潟の公共交通発展のためのもっとも確実な道のりなのです。

市長の批判は当たりません。

なお、この点、昨年、バンクーバーで、新交通システムについて、イエスかノーかを問う住民投票が実施されています。資料をご覧ください。つまり、私たちが求めているのと同じような内容の住民投票が実施されていることについて情報提供をしておきます。

市長は、事業を白紙撤回することで国費返還を命じられる可能性があるなどと主張します。

市民の声を無視し、そのような事態に持ち込んだのは誰かと問いたくもなりますが、今は控えます。

新バスシステムについては、今後57億円の支出が予定されています。もし、市民の意向に沿わない、市民の支持を受けられないような新バスシステムに57億円を費やすことを止めることができるのであれば、国費返還のリスクも、住民投票に係るコストも、受忍できるとの考えも可能です。いずれにしても、止めることのメリット、デメリット、両方を市民に説明し、市民の判断を仰げばよい話です。住民投票をしない理由にはなりません。

市長は公共交通は住民投票にふさわしくないと言います。しかし、さきほど、バンクーバーの例をあげました。

自治体国際化協会の論文によると、2004年だけで、アメリカで53件も公共交通についての住民投票が実施されたそうです。チューリヒなど多くのところで公共交通について住民投票がなされています。

これらの例から見てもお分かりのように、公共交通ほど住民投票にふさわしいテーマはないのです。市民はこれまで住民投票を通じて、あるべき公共交通政策を作り上げてきたのです。

 

繰り返して言います。市民の判断を信頼してください。

新潟市民は住民投票で必ず適切な判断を下します。

私たちの直接請求運動は、市民の想いを頼りとしてきました。
市民のメッセージは極めて明確です。

こんなに市民の声を無視する市政はもうたくさんだ、もう我慢ができない、もうよっぱらだ。そのような声が新潟市内に充満しているのです。

その声が約6万の署名となったのです。

私たちは古町や本町、住宅地、いろいろなところで署名を集めました。

古町まで署名のためにタクシーで駆けつけてくれた方もいます。自ら駆け寄ってきて、署名集めをすると申し出てくれた方は多数いらっしゃいます。今まで何の繋がりもなかった方が、一緒に街頭で署名集めをしてくれたということもありました。何とかしたいという市民の想いをひしひしと感じました。

署名期間が終わってから、どこで署名をしたら良いか問い合わせてきた方もいらっしゃいます。そのような方々の署名は当然約6万には含まれていません。

署名をいただいたものの、住所の記載ミス等で無効とされた方も多くいらっしゃると思います。

実際には、6万をはるかに超える数の市民の強い想いがこの請求には込められているのです。

その声にこたえることができるのはみなさんだけです。

その声に応える責任を負っているのはみなさんなのです

市民の切実な声に応え、住民投票条例に賛成してくださるようお願いして、意見陳述を終わらせていただきます

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