2017年2月17日
加害者が任意保険未加入の交通事故(死亡・後遺障害)の補償
さだまさしさんの歌に、交通死亡事故の加害者が被害者遺族に賠償金の送金を続ける話を題材にした「償い」があります(ある刑事裁判で、裁判官が、判決言い渡しにおいて被告人を説諭した際、この「償い」の歌に言及したそうです。)。
交通事故で死亡・後遺障害という重大被害に遭ったのにもかかわらず、加害者が任意保険未加入(自賠責保険のみ加入)という場合があります。「加害者に資力がないと、被害の弁償を受けることができないのでは。」と考える方も多いと思います。
このような場合でも、被害者本人やその家族が加入する任意保険の人身傷害保険(人身傷害補償条項の共済等も含む。)に加え、無保険車傷害保険(無共済車傷害特則の共済等も含む。)を利用して、加害者が任意保険(対人賠償保険)に加入している場合の金額に近い補償を受けられる仕組みになっています(無保険車傷害保険は、死亡・後遺障害認定の場合にのみ利用できます。)。
もっとも、保険会社は、無保険車傷害保険を利用することに消極的です。そのため、被害者ご本人らが、同保険の存在自体に気付かない、あるいは、自身の保険会社に請求しても支払いを拒絶されることがあります。
しかし、多少の手間こそかかりますが、無保険車傷害保険に基づく保障を受けることは可能です。私も、任意保険未加入の加害者の交通死亡事故の被害者側からご依頼を受けた事件で、無保険車傷害保険等を利用し、加害者が任意保険(対人賠償保険)に加入している場合に支払われる金額近くまで、保険金(賠償金)の額を増額できました。
死亡・後遺障害といった重大結果を伴う交通事故にもかかわらず加害者が任意保険未加入の場合、適切かつ妥当な金銭の「償い」を得ようとしても、被害者ご本人では対応できないことも多いと思います。その場合、弁護士にご相談ください。
弁護士 加賀谷達郎
著者:加賀谷 達郎
新潟県よりさらに冬が厳しい秋田県で生まれ育ちました(北海道に住んだこともあります。)。縁あって、学生時代を過ごした新潟で、弁護士として活動することができ、嬉しく思います。「弁護士」と聞くと「なるべく関わりたくない」という方が大多数かと思いますが、ご依頼された場合、法律・裁判例を念頭に置きながら、「依頼者の方にとって一番良い解決は何か」を考え、業務に務めたいと思います。雪国育ちですが、スキーはできません。しかし、寒さ・辛さにも耐える我慢強さ、簡単にあきらめない粘り強さには自信があります。TVドラマで登場する弁護士の様な華麗さはないですが、依頼者の方と誠実に向き合い、粘り強く、少しでも良い解決を目指したいと思います。