2018年8月8日
車が動いていれば100:0にならないのは本当?
動いている車同士の事故の場合、過失相殺ということがよく話題にのぼります。たとえば、A車とB車が衝突して事故になった場合に、Aの過失が20%、Bの過失が80%で、A・Bの損害がともに100万円であるとすると、Aは、Bの損害のうち20%にあたる20万円の賠償義務を負い、BはAの損害のうち80%にあたる80万円の賠償義務を負います。それらはそれぞれ支払いがなされることもありますし、相殺の合意をして、BがAに60万円を支払って解決することもあります。
ところで、誰が言い出したことかは知りませんが、動いている車同士の事故では100:0にはならないという話が、法律の常識であるかのように流れており、そのような話を聞いた被害者の方が鵜呑みにしていることがあります。法律を仕事としていない家族や友人がそのような話をするのは無理もありませんが、時には警察や保険会社といったプロと言える人からそのような話を聞かされたという方もいます。
しかしながら、車が動いていれば100:0にならないというのは、誤った法律知識が社会に流布してしまっている例の典型でしょう。動いている車同士でも、被害者が青信号、加害者が赤信号である場合や、センターラインオーバーなどの、被害者は交通ルールを守っており加害者が基本的なルールに違反して事故が起きた場合や、そのようなケースでなくても、被害者からみて、回避可能性がないと考えられる事故では、被害者には過失を観念できず、過失割合は100:0とされるべきであり、現実にそのように処理された事案は多数あります。
過失割合について、保険会社側の説明に納得できないような場合には、法律相談を受けられることをお勧めします。当事務所では、交通事故の法律相談は、初回は無料としておりますので、遠慮なくご相談ください。
弁護士 近藤 明彦
著者:近藤 明彦
話しやすい雰囲気で相談・打合せを行い、丁寧な事件処理をすること。依頼者の皆様の満足と納得を最優先にし、安心感を得ていただけることを目標として頑張っています。以前依頼者であった方から、別の事件の相談を再び受けること(リピート)、別の相談者を紹介していただくこと(孫事件とでも言いましょうか)が多く、そのことが私にとって大きな励みになっています。お客様から満足していただけたかどうかのバロメーターであると考えるからです。
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