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2008年4月17日

「離婚したい。でも生活が不安」~年金分割の仕組み~

(2007年正月号ほなみ掲載)

長年夫の暴力や浮気に悩まされ,子供たちのことを考えて我慢してきたが,子供たちも一人立ちしたので,第二に人生を考えて離婚したい,そんな相談を受けることがよくあります。しかしそのような女性にとって常にネックとなっていたのが,離婚後の経済生活です。共働きで妻にそれなりの蓄えがあったり,厚生年金の受給が出来る場合はともかく,専業主婦の場合,蓄えがない上,国民基礎年金として年80万円程度の年金しか受給できない人が多かったからです。
離婚には財産分与という制度があります。つまり,夫婦間に蓄えた財産はそれが一方(典型的には夫)の名義であっても,それは妻の内助の功であってのことであるから,それを夫婦の共有財産と考え,離婚時に清算するものです。これと同じ考え方を年金にも導入しようとするのが年金分割制度であり,育児や家事等の妻の労働をきちんと年金の受給に反映させようとするものです。
年金分割制度は今年4月以降の離婚に適用されます。その内容は,「婚姻期間中の厚生年金保険料の支払いについて,離婚する際に当事者間で分割することが認められる。」というものです。
注意点をいくつか述べますと,第一に,「婚姻期間中の厚生年金保険料」に限られるということです。したがって,年金分割によって具体的なメリットがあるのは,長年連れ添った熟年夫婦の離婚の場合に大きいといえます。
第二に,分割の割合は最大50%です。なお,共働き夫婦の場合には,夫と妻の厚生年金保険料を合算してその50%が最大となります。
第三に,当然分割されるのではなく,当事者の合意が必要ということです。協議離婚で年金分割を合意した場合には,公正証書を作成した上で社会保険庁に分割請求を行う必要があります。分割について合意がまとまらない場合には家庭裁判所の調停や訴訟により,分割割合を決めてもらうことになります(判決による場合には,一方当事者が合意しない場合でも判決で分割が命ぜられることになります)。
なお,この制度とは別に,その1年後である2008年4月以降の厚生年金保険料の支払分については,離婚時に,当事者の合意がなくても,当事者の一方の請求により,自動的に2分の1を分割することができるようになります。ただし,2008年3月までの保険料に対応する年金を分割するにはやはり合意が必要ですので,2008年4月を迎えたからといって,直ちに有利になるわけではありません。
社会保険庁では昨年10月から年金分割に必要な情報の提供を行っています。これによって直ちに分割後の年金額を知ることが出来るわけではありませんが,情報提供を受けた上で弁護士等の専門家に相談することによって概ねの予測をすることができます。
(弁護士近藤明彦)

著者:

話しやすい雰囲気で相談・打合せを行い、丁寧な事件処理をすること。依頼者の方の納得を最優先にし、依頼者の方から感謝されることを目標に頑張っています。個人的には、以前依頼者であった方から、別の事件の相談を再び受けること(リピート)、別の相談者を紹介していただくこと(孫事件とでも言いましょうか)が非常に多く、そのことが大変に励みになっています。お客様から満足していただけたかどうかのバロメーターであると考えられるからです。

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