2013年9月17日
グリーン回収便事件
ー勝利的解決。さらなる職場環境の改善に向けてー
(事務所誌「ほなみ」第114号掲載)
北関東通商株式会社(以下「北関東通商」といいます。)は、「グリーン回収便」の商標を使用し、新潟市内を中心に古紙回収業を営んでいます。回収員は、各地域の新聞・雑誌・段ボールを回収し、回収量に応じてトイレットペーパーなどを回収先住民に配布しています。
AさんとKさんは、北関東通商と「業務委託契約」を締結し「事業者」として北関東通商新潟営業所でグリーン回収便の回収「業務」を行っていましたが、上司からパワーハラスメント行為を受けていました。二人は、職場環境改善のため、県労連ユニオンに加入しましたが、北関東通商は、ユニオン加入の事実を把握後、二人との「業務委託契約」を「中途解約」しました。
私たちは、北関東通商の二人に対する「中途解約」は、労働契約法違反の無効な解雇であり、労働組合法違反の不当労働行為に該当すると判断しました。そして、昨年九月に新潟地方裁判所に仮処分の申立てを、十一月に新潟県労働委員会に不当労働行為救済命令の申立てを行いました。
仮処分については、本年一月に、①北関東通商は、AさんとKさんの職場復帰を認めること、②二人が労働組合に参加したことを理由とする不利益的取扱いをしないこと、③団体交渉の申し入れに対して誠実に対応することなどを中心とした和解が成立しました。
また、不当労働行為救済申立てについても、①団体交渉を実施すること、②団体交渉のルールについてユニオンと北関東通商の間で合意したことが確認できたため、取下げにより終了しました。現在も、ユニオンと北関東通商は、団体交渉を継続し、AさんとKさんらの職場環境の改善に向けての協議を行っています。
グリーン回収便事件は、比較的早い段階で勝利的解決を実現できました。しかし、AさんとKさんの職場環境改善に向けた闘いはまだ続いています。今後ともご支援のほどよろしくお願い致します。
(弁護士 加賀谷達郎)
著者:加賀谷 達郎
新潟県よりさらに冬が厳しい秋田県で生まれ育ちました(北海道に住んだこともあります。)。縁あって、学生時代を過ごした新潟で、弁護士として活動することができ、嬉しく思います。「弁護士」と聞くと「なるべく関わりたくない」という方が大多数かと思いますが、ご依頼された場合、法律・裁判例を念頭に置きながら、「依頼者の方にとって一番良い解決は何か」を考え、業務に務めたいと思います。雪国育ちですが、スキーはできません。しかし、寒さ・辛さにも耐える我慢強さ、簡単にあきらめない粘り強さには自信があります。TVドラマで登場する弁護士の様な華麗さはないですが、依頼者の方と誠実に向き合い、粘り強く、少しでも良い解決を目指したいと思います。
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