2013年9月20日

中越エクスプレス未払い賃金支払い請求訴訟

(事務所誌「ほなみ」第１１４号掲載）

  運送会社である中越エクスプレスでは、従前、残業代に関する「労使協定」が無断で作成され、違法に届出がされていました。この違法な労使協定の締結を巡り、労働組合は、違法な労使協定の締結を改善しようと、正当な組合活動を行ってきました。これに対して、会社側は、組合員らに対して懲戒処分を行い、従前と同様、従業員に不利益な労使協定を締結し続けてきました（これらの懲戒処分については、新潟県労働委員会を通じ、不当労働行為の救済申立てを行いました。今年の５月にはその申立てが認められましたが、現在中央労働委員会にて係争中です。）

  このように、中越エクスプレスでは、平成21年まで長年にわたり、違法な形で労使協定を偽装し、従業員に対し、本来払わなければいけない残業代の支払いを免れてきました。また、労使協定の偽装が発覚した後も、違法不当な労使協定の締結により、正当な賃金を支払っていません。なお、現在原告に支払われている残業代を計算してみると、最低賃金を下回る計算になっています。

  そのため、中越エクスプレスの従業員30名は、中越エクスプレスを被告として、法律で定められた適正な賃金の支払いを求め、本年５月１日、新潟地方裁判所に対して、未払い賃金、慰謝料の支払いを求めて提訴しました。

  ７月17日の第１回口頭弁論には、多くの傍聴の皆さんに駆けつけて頂き、原告代表者が意見陳述を行いました。

  この訴訟は、中越エクスプレスの従業員である原告の皆さんの正当な権利の回復といった意義にとどまらず、トラック業界における労働条件の改善を図るといった意味で大きな意義があります。ご支援の程よろしくお願い致します。担当弁護士は土屋、二宮です。

（弁護士　二宮淳悟）