新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2013年9月21日

水俣病特措法・異議申立手審理が10月からスタート

  水俣病特措法の一時金対象者に該当しないとする判定を不服として、阿賀野患者会の会員21人が新潟県に行った異議申立てについて、9月13日、県は10月から審理をすすめると発表しました。

  また県は、これまで一時金対象者に該当しないと判定された方々にも、判定結果に不服がある場合は、異議申立てを行うことができるという「お知らせ」文書とともに「異議申立書」の書式や記載例を送ったことも発表しました。

 この間の経緯ですが、これまで環境省は、県の判定は行政処分ではないから異議申立てはできないという見解に固執し、熊本県や鹿児島県も環境省の見解に従って異議申立てを却下。

 これに対し、わが国の著名な行政法学者からは、「環境省の見解は誤っている。異議申立ては受け付けるべきだ」といった異論が相次ぎました(2012年11月30日朝日新聞)。 

 そのような中で、泉田裕彦新潟県知事は、3月6日、「県の判定結果により、特措法5条に定める金銭の給付を受けるか否かという申請者の法的地位に変動をもたらす以上、県の判定には処分性が認められる」というコメントを発表、3人の被害者の異議申立てを受理し、審理の準備を進めていました。

 今回の県の発表でとくに注目したいのは、これまで異議申立てをしてこなかった方も、異議申立てをすることが可能になったこと。特措法の給付申請の受付が締め切られた2012年7月末までに新潟県に給付申請を行った被害者は2018件。このうち2割近くの400人が「非該当者」と判定されているとも言われていますが、判定結果に不服のある方は、せっかくの機会ですから、「お知らせ」(教示)を受け取った日の翌日から60日以内に異議申立てをすることをお勧めします。

 この10月からスタートする異議申立ての審理ですが、異議申立て可能になっても公正で適正な審理が行われなければ意味がありません。

 これまで弁護団や新潟水俣病共闘会議は5回にわたって県の担当者と審理の進め方について協議を行いました。

 また被害者も弁護士と一緒になって陳述書の作成に取り組むなど、充実した審理を行うための準備も進められています。

 これに対し、環境省は「県と連絡を取りながら審理の推移を見守りたい」としながらも、一方では「国の考え方に変更はない」としており(2012年9月14日新潟日報)、判定結果に不服のある方に国がどのように対応するのか、具体的な対応は何も示していません。

 このような国の姿勢は、「水俣病問題の最終解決」をめざす水俣病特措法の趣旨にも反するものと言わざるを得ないでしょう。

  弁護士 中村 周而

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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