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2013年10月8日

現場の実態を見ない最高裁判所の判決 加茂暁星高校事件

1 事件の内容
新潟県内のとある私立高校には多く非常勤講師が授業を受け持っていました。そのうち2名の方が、名目上は雇用期間1年であるところ、実際は25年間ないしは17年間にわたり繰り返し雇用契約を更新されていました。更新手続は全くと言っていいほど行われず、学校側も同僚の教師もみな契約更新が当然だという扱いをしてきました。それが25年ないし17年間続いてきたのでした。
ところが、新しく赴任してきた校長が、急に雇用期間を意識した扱いを変えようとしました。しかし、長年の慣行や認識をはっきり変えるまでは至っていませんでした。ところが、「雇用契約書に書いてある」と言って2007年3月末日、再雇用を求めるお二人との契約を更新せず、雇い止めをしました。お二人にとっては晴天のへきれき、明日からの生活のかてを奪われ、生徒との信頼関係を壊されました。
2 全面勝訴から逆転敗訴へ
お二人は、雇止めは違法、雇用契約は更新されるべきだと裁判を起こしました。
2010年12月、新潟地裁は、現場の実態を率直に見た上で、お二人の主張を全面的に認めました。
しかし、2012年2月、東京高裁は、「雇用契約書には1年限りを明記してある。それを知っていたはず。」「非常勤講師というのはそもそもそういうものだ。」などという理由で、逆転敗訴させました。
2013年9月26日、最高裁は、東京高裁の判断を支持し、お二人の上告を認めない判断をしました。
3 現場を見ない、見ようという意欲に欠ける最高裁判決
最高裁の判決は、事実関係に全く踏み込まず自分の判断もない、本当に薄っぺらなものでした(分量もわずか3頁)。
これまで自分の生活を賭けて6年以上頑張ってきたお二人に対して、「よく燗張って来られたね。ただ、法律的には勝つことは難しかったんですよ。」とねぎらう様子はみじんもありませんでした。
この判決には、現場の実態を見ない、見ようという意欲が全く感じられませんでした。本当にくやしいです。

(弁護士 金 子  修)

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