2013年11月6日
不動産に関する法律相談 不動産の売買契約(その8)
前回の法律相談(不動産の売買契約(その7))では、以下のことをお話ししました。BさんがAさんから「甲」という土地を買って土地所有権を取得したとします。ところが、Bさんが甲の登記をAさんから移転してもらう前に、Aさんが、甲を、AさんとBさんの売買を知らないCさんに売って甲の登記をCさんに移転した場合、最初の買主であるBさんは甲の所有権をCに主張できません。 今回の法律相談では、Cさんが、「AさんとBさんの売買を知っていた」場合について考えていきたいと思います。 結論からいうと、Cさんが、「AさんとBさんの売買があったことについて知っていた」場合でも、原則として、最初の買主であるBさんは甲の所有権をCに主張できません。つまり、Cさんは、原則として、甲の所有権争いで、Bさんに勝ってしまうです。 この結論に対しても、疑問を持たれる方も多いと思います。では、どうしてCさんが原則としてBさんに勝つのでしょうか。その理由は、「自由競争が認められる社会では、物の取得を巡って他人と競争し、他人よりも有利な条件を提示して物を取得されることも許される。このことは他人が物件を取得した場合でも同じである」と考えられているからなのです(「自由競争論」と呼ばれる考え方です。ただし、自由競争論に対しては、学者・実務家らから激しい批判がされています。)。 それでは、Cさんは、Bさんより先に登記を取得すれば、どのような場合でもBさんに勝つことができるのでしょうか。この点については、次回の法律相談でお話ししたいと思います。 弁護士 加賀谷達郎
著者:加賀谷 達郎
新潟県よりさらに冬が厳しい秋田県で生まれ育ちました(北海道に住んだこともあります。)。縁あって、学生時代を過ごした新潟で、弁護士として活動することができ、嬉しく思います。「弁護士」と聞くと「なるべく関わりたくない」という方が大多数かと思いますが、ご依頼された場合、法律・裁判例を念頭に置きながら、「依頼者の方にとって一番良い解決は何か」を考え、業務に務めたいと思います。雪国育ちですが、スキーはできません。しかし、寒さ・辛さにも耐える我慢強さ、簡単にあきらめない粘り強さには自信があります。TVドラマで登場する弁護士の様な華麗さはないですが、依頼者の方と誠実に向き合い、粘り強く、少しでも良い解決を目指したいと思います。
「法律相談」活用のススメ