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2018年12月6日

養育費や婚姻費用の「算定表」は法律ではありません

離婚や別居を経験した方なら、離婚後の養育費や別居中の婚姻費用(生活費の仕送りのこと)の「算定表」を見たことや使ったことがあるという人も多いと思います。

一般に現在家裁で用いられている「算定表」とは、裁判官等で構成された東京・大阪養育費等研究会が平成15年に発表した「簡易迅速な養育費等の算定を目指して~養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案~」として発表された「算定表」のことを指します。

この「算定表」が作られてから、誰でも容易に一般的な養育費等の算定を行うことができるようになり、離婚や別居の際に、養育費や婚姻費用を支払わなければならないという理解が進み、不当な未払い事案は相当に減ったと思います。この意味で、「算定表」の功績と効用は大変に大きなものです。

他方で、「算定表」の定着が進むにつれて、「算定表」を絶対視する傾向が強まってきたように感じることがあります。

法律では、養育費については、「父母が…離婚をするときは、…子の監護に要する費用の分担…は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」(民法766条1項)。婚姻費用については、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」(民法760条)と定められているだけで、「算定表」は法律等で定められているものではありません。

したがって、当事者同士が「算定表」に縛られず合意することは全く問題がありません。中には、子どもには少しでも迷惑をかけたくないとの親の愛情から、算定表を超えた養育費の支払いを表明される方がおられますが、それは子どもの福祉の観点から望ましいことであって、「算定表」により、わざわざ減額するようなことではありません。

また、子どもの学費や障がいなど、様々な事情で、算定表よりも多くの養育費の支払いを希望されているものの、相手方がそれに応じようとしない例が多く見られます。これらの要望は通るとは限らないものの、ちゃんと理由があるのですから、調停等の手続きにおいて増額を求めてみる価値はあると思いますし、そのような事案については、裁判所も事案に応じて慎重かつ柔軟に対応すべきであると思います。

もちろん、その逆の事例で、妻のための借金を夫が支払っているとか、夫が住宅ローンを支払っている自宅に妻が住んでいるなどのケースでは、夫が妻に支払う婚姻費用を「算定表」よりも減額した方が公平という場合もあります。

養育費や婚姻費用についての相談は、当事務所では、初回は無料となっていますので、お気軽にご相談ください。

弁護士 近藤明彦

著者:

話しやすい雰囲気で相談・打合せを行い、丁寧な事件処理をすること。依頼者の皆様の満足と納得を最優先にし、安心感を得ていただけることを目標として頑張っています。以前依頼者であった方から、別の事件の相談を再び受けること(リピート)、別の相談者を紹介していただくこと(孫事件とでも言いましょうか)が多く、そのことが私にとって大きな励みになっています。お客様から満足していただけたかどうかのバロメーターであると考えるからです。

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