2012年4月23日
子どもから「離婚したい」と言われたら
(事務所誌「ほなみ」第109号掲載 法律相談)
縁あって結婚したのに、どうしても一緒に生きてゆけず離婚になってしまう。離婚には勝ちも負けもありません。お互い深く傷つきますから、「もう少しがんばってみたら」とアドバイスしたくなることもあります。でも、どうしても離婚しかない場合、離婚の条件についてじっくり話し合うことが大切です。特に子どもがいる場合はそうです。
(一郎さん) うちの娘、3年前に夏彦さんと結婚してね、披露宴で「おとうさん、おかあさん、これまで育ててくれて本当にありがとう」なんてね。親としてもこれで肩の荷が下りたとホッとしてたら、先日、突然、生まれて1才の長男を連れて家に来て、泣きながら「あんな人、絶対に別れてやる!」。私らびっくり、ただオロオロするだけなんですよ。
(弁護士) 別れたいという理由は何と?
(一郎さん) それが、「遅くまで帰って来ない」「育児に協力してくれない」「私の話を聞いてくれない」ということで。夏彦さんは「別れたくない。反省するのでもう一度やり直したい」とのことでした。
(弁護士) それだと、このまま離婚にまで突っ走ることはできませんね。法律が認める離婚の理由にはまだ達していない。
(一郎さん) でも、娘の意思は固いようなのです。私らも手の施しようがなくて・・。
(弁護士) 2人の気持ちの差が大きいので、家庭裁判所に調停を申し込むしかないですね。調停は、裁判所を使って専門的なアドバイスを受けながら冷静に話合いをするところです。
(一郎さん) 調停を申し込む時、どんなことを準備すれば良いですか。
(弁護士) まず、離婚したい理由をきちんと整理すること。次に離婚後の子どもの親権者を誰にするか。三番目に金銭的な要求があります。一つは慰謝料、結婚生活をダメにされたことによる精神的苦痛に対するつぐないをお金で求めます。二つには財産分与、結婚生活中に築いた財産(借金も含む)を清算します。三つには子どもの養育費の金額や支払い期間などです。それ以外にも、親権者にならなかった親からの子どもに対する面接交渉の方法、夏彦さんが勤め人の場合には年金分割という手続も考えねばなりません。
(一郎さん) フ~ッ。何やら大変ですね。離婚は結婚の100倍のエネルギーを使う。私ら親としては、できれば元のサヤに戻って欲しいと思うんですが。
(弁護士) 離婚の調停の中で、そのような方向で話をまとめることも可能です。たとえば、「当面別居して生活し、その間、離婚するか同居生活に戻るか話合いをする。当面の生活費として金○万円を送金する。」というような取り決めもできます。いま不景気ですから、離婚してもその先安定した生活ができるか不透明ですしね。
(一郎さん) 調停がうまくいかなかったら、やっぱり裁判ですか。
(弁護士) そうですね。調停は合意ができなかったらそれで終わりです。どうしても離婚したいというのであれば訴訟に進むしかないと思います。
(一郎さん) 弁護士さんに頼むとすれば訴訟になってからの方が良いですか。
(弁護士) 私の経験からすると、お互い傷を深めず納得いく解決をするためには、早い段階から弁護士が入った方が良いと感じています。弁護士費用についてはざっくばらんにお尋ねください。
弁 護 士 金子 修
著者:金子 修
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