新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2009年3月30日

ポチはモノ?

 ポチは6才。赤ん坊の時にTさんが親戚からもらい受けた柴犬です。おとなしく、ちゃんと躾けもできていて、いつもTさんと小学校の長女に愛嬌をふりまき、一緒にふとんの中で寝ます。母子2人はいつも慰められていました。
ある休日、大好きなドライブに行くため、ポチは、車道の端っこでお座りをし、道路わきの車庫から出てくるTさんの車を待っていました。すると、そこに路肩ぎりぎりを走る宅配便のトラックが近づいてきました。運転手は前方不注意でポチの存在に気づきません。ポチもTさんの車の方ばかり見てトラックに気づきませんでした。スピードを上げたトラックはそのままポチを轢いてしまいました。
そのようすを運転席から目撃したTさんは、急いでトラックを追いかけ運転手をつかまえ、そのあとポチを動物病院に運びました。しかしポチは治療の甲斐なく死んでしまいました。Tさんと長女は、3日間何も食べられず泣き明かしたそうです。
かなり以前、そんなTさんの依頼で、ポチを失った深い悲しみを償う慰謝料の支払いを求めた裁判を起こしました。Tさんは当然、人間の家族を失ったと同じ請求をしました。しかし結果は、ほんのわずかの金額が認められただけでした。
なぜか? 法律(民法)の世界では、動物=人間が所有する対象物=モノとされ、どんなに人間の家族同然であっても、人間ではなくモノなのです。ようするに、ポチもぬいぐるみの犬も置き物の犬もみな同じ扱いなのです。したがって、ポチの死は、ぬいぐるみや置き物が壊れたのと同じとされてしまったのです。血統書もないポチの価値はとても低く見られてしまいました。
Tさんは当然納得がいきませんでした。私も、弁護士として頭では判っていても、ポチの生前の写真などを見ていると釈然としませんでした。
ペットが人間の生活に深く関わり、人生の伴侶と思う人がたくさんいる今の社会、法律もペットに対しその地位にふさわしい扱いをすべきだと思います。犬と仲よく散歩している人を見かけると、ふとそう思ったりします。
(弁護士 金 子 修)

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