2013年9月4日
大河ドラマ「八重の桜」を見て
(事務所誌「ほなみ」114号掲載)
私は、テレビドラマをあまり見ないのですが、NHKの大河ドラマ「八重の桜」だけは、ほぼ毎回欠かさずに見ています。
ドラマの前半では、幕末の動乱の中で時代に翻弄される、綾瀬はるかさん演じる山本八重(新島八重)をはじめとする会津藩の人々が中心的に描かれています。ドラマは前半のクライマックスを迎えましたが、その中では、成人男性だけでなく、女性や子どもが戦乱に巻き込まれ、命を落とすシーンもありました。演技とはいえ、やはり見ていると、胸が苦しくなってしまいます。
女性や子どもが戦争で命を落とすことは、当然、「八重の桜」の会津藩に限ったことではありません。過去100年間、日本国内でも、太平洋戦争末期の沖縄戦など、女性や子どもを含む多くの民間人が地上での戦闘に巻き込まれ命を落とすケースがありました。
ご存知のとおり、今、「憲法改正」について、様々な角度から議論がされています。日本国憲法制定から60年以上が経過し、アメリカ合衆国やアジア近隣諸国の動きから目が離せない状況も相俟って、「改正」に向けた動きが従前より活発になってきています。多くの人が考えるように、「改正」の本丸は、第9条であると思います。
確かに、現行憲法の下では、我が国の防衛・安全に関し、問題点があることは否定できません。「憲法改正」に賛否両論があることも当然で、活発な議論がされることは重要です。また、9条の「改正」に賛成または積極的に反対しない人の多くは、「八重の桜」のような悲劇が身の回りで起こることは決して望んでいないと思います。
しかし、仮に、「国防軍」が明記された憲法に改正され、しばらくの時間が経ち、その憲法の下で戦争が容易にできる風潮も生じるのではないかと考えます。そして、日本が戦争に参加したら、「八重の桜」のような悲劇はまた繰り返されるでしょう。悲劇に巻き込まれるのは、「改正」について積極的に反対の声を挙げなかった人がほとんどと思います。
「憲法改正」は、私たちのいのちに関わる問題といっても過言ではありません。安易に周りの意見に流されず、「ならぬものはならぬ」の姿勢で、この問題について、私自身も真剣に考えいこうと思います。
弁護士 加賀谷 達郎
著者:加賀谷 達郎
新潟県よりさらに冬が厳しい秋田県で生まれ育ちました(北海道に住んだこともあります。)。縁あって、学生時代を過ごした新潟で、弁護士として活動することができ、嬉しく思います。「弁護士」と聞くと「なるべく関わりたくない」という方が大多数かと思いますが、ご依頼された場合、法律・裁判例を念頭に置きながら、「依頼者の方にとって一番良い解決は何か」を考え、業務に務めたいと思います。雪国育ちですが、スキーはできません。しかし、寒さ・辛さにも耐える我慢強さ、簡単にあきらめない粘り強さには自信があります。TVドラマで登場する弁護士の様な華麗さはないですが、依頼者の方と誠実に向き合い、粘り強く、少しでも良い解決を目指したいと思います。
憲法の生命線を守れ
「お母さんのエプロンの後ろに隠れたいか?」