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2013年12月16日

労働組合に加入していることを理由とする不利益扱いで、会社社長に個人賠償

  労働組合法7条1号は、労働組合に加入し又は組合活動を行ったことで、使用者が解雇をしたり、昇給や昇進の差別、懲戒処分をするなどの不利益な扱いをすることを不当労働行為として禁止しています。 

 組合員であることで差別的な扱いを受けた場合には労働委員会に不当労働行為の申立をすることで、不利益扱いをやめさせる救済命令を出してもらう制度があります。 

 不利益扱いをする不当労働行為は憲法28条で保障する団結権侵害となるだけでなく、当該労働者の人格権を侵害する違法な行為です。使用者の違法な行為によって精神的・経済的な損害を受けた場合には使用者に対し、損害賠償請求を求めることもできます。 

 使用者が会社の場合には、会社が不当労働行為を行っていることを放置した会社の社長(代表取締役)が個人としても賠償責任を負うことがあります。

 介護施設を経営する株式会社東日本福祉経営サービスが3年半にわたって職員のAさんに対して会社施設内への立ち入りを禁止して就労を拒否し、賃金の支払いを拒んでいましたが、平成25年8月20日に、新潟地方裁判所は、Aさんに対する就労拒否は会社が組合を嫌悪し、Aさんが組合に加入し又は組合活動を行っていることが主たる動機であるとし、Aさんの就労を拒否し、賃金を支払わないで経済的不利益を与えたことは会社による不法行為と認め、損害賠償を命ずる判決をなした。 

 更に、この判決は、社長個人に対しても、会社法429条1項によって損害賠償責任があるとして、会社と連帯してAさんに慰謝料を支払うことを命じました。この判決は「被告会社の代表取締役として、労働組合対策等の労務管理を含む被告会社の業務全般について権限を有していたのであるから、被告会社に不当労働行為を行わせないようにする注意義務があった」とし、この注意義務に違反して組合との団体交渉を拒否し、全面的な立入禁止を命じてAさんを職場から排除したことは取締役として悪意又は重大な過失によって忠実義務に違反するものであるとして、会社法429条1項に基づきAさんが被った損害を賠償する責任があるとしました。

  代表取締役は会社が不当労働行為を行わなせないようにする注意義務があることを正面から認めたもので、「取締役会で決めたことを実行しただけだ」という言い訳は通用しないことを認める判決です。

 

弁護士 土屋俊幸(新潟県弁護士会所属)

著者:

パソコンのハードとOSに強く、当事務所のパソコン機器のメンテナンス係りです。自分で高性能のパソコンを自作しています。オーディオが趣味で、最近では、デジタル信号をアナログ信号に変換する機器(DAC)にiPadをつなぎ、どのUSBケーブルだと良い音ができるのかを試行錯誤をしています。ハイレゾ音源とYouTubeのヒアノ演奏や交響楽団の演奏を真空管アンプで、30年前に買ったスピーカーで、音の歪みのもたらす音に聴き入る時間をつくりたいと思っています。論文検索や技術情報の収集など情報検索を駆使しての情報集めを得意としています。オーディオの世界と仕事では燻銀の経験と粘りで頑張っています。

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