新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2016年2月19日

遺留分ってなに?

(事務所誌ほなみ第119号掲載)

新年おめでとうございます。今回の法律相談で取り上げるテーマは遺留分です。相談者は、最近、夫を亡くした主婦で、夫婦で農業を営んでいました。2人の子(長男と長女)がいて、長女夫婦と同居しており、長男は独立して別の事業をしています。生前、夫が作成していた公正証書遺言によれば、自宅の土地建物(時価500万円)は相談者に、預金(500万円)は長女に相続させるとありますが、農地(5000万円)は全部長男に相続させるとなっています。

Q 長男は以前は農業をやる予定で、私達の手伝いをしてくれていました。この遺言もその頃に作成されたものです。ところが長男は、その後、別の事業をやりだし、今では農業を継ぐ意思はありません。その事業も思うようにいっておらず、自分が農地を相続したら処分をして事業の資金繰りに充てようと考えているようです。このままでは、私は夫と力をあわせてやってきた農業を続けることができなくなります。仕方がないのでしょうか。

A 長男が5000万円の農地を相続することになると、あなたの遺留分を侵害することになりますので、遺留分減殺請求をすることができます。

Q 遺留分って何ですか。

A 本来なら、被相続人(夫)は自分の財産を生前に処分したり、遺言で自由に処分できる筈です。しかし、現在の相続制度には、被相続人に扶養されている相続人の生活保障をはかるとか、相続財産の公平な分配をはかるために遺産の一部を相続人に最小限度残す(留保する)ことも必要だという要請もあります。この2つの要請を調和するためにできたのが遺留分制度です。相続財産のうち、相続人に留保される遺産の部分を遺留分といいます。

Q それでは、私の遺留分はどれ位になりますか。

A 妻の相続分(2分の1)の2分の1、つまり、相続財産の4分の1が遺留分になります。夫の相続財産は農地と住宅と預金を合わせると全部で6000万円になりますね。その4分の1の1500万円が妻であるあなたの遺留分額になります。また、長女については8分の1(長女の相続分の2分の1)の750万円が遺留分額になります。

Q 私は500万円の自宅しか相続を受けられないとなると、たしかに遺留分よりも少ないですよね。

A 遺留分額は1500万円ですから1000万円の遺留分が侵害されたことになります。長女の場合の遺留分の侵害額は250万円です。

Q それでは、どうすれば遺留分の侵害分を回復することができますか。

A 長男に対して遺留分減殺請求の意思表示をする必要があります。これは、内容証明郵便で行うのがよいでしょう。そのうえで、家庭裁判所に遺留分減殺を求める調停申立てをしたほうがよいでしょう。

弁護士 中村周而

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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